イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

助教

柴田 将拡

しばた まさひろ

所属
情報工学研究院
電子情報工学研究系
プロフィール
1989 生まれ
2017 情報科学博士 大阪大学大学院
2017 大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻博士後期課程修了
2014 大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻博士前期課程修了

研究室に配属された時に始めた分散アルゴリズムという理論的な研究を通じて、まだ解明されていない物事の真理を追求することに面白みを感じ、研究を続けてきました。今後は、理論的な研究も引き続き行い、得られた結果を、IoTやブロックチェーンなどの、将来の技術へ適用するための実用的な研究も行っていきたいと考えています。

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モバイルエージェントを用いた自律的なネットワーク管理

● 研究テーマ

  • ❖分散システムにおけるモバイルエージェント移動制御アルゴリズム

● 分野

情報学基礎理論・計算機システム・情報ネットワーク

● キーワード

分散システム、アルゴリズム、モバイルエージェント

● 実施中の研究概要

 人の手を介さずともネットワーク管理を実現する仕組みを研究しています。これまでに、主に(モバイル)エージェントのg-部分集合問題の研究を進めてきました。

 現在のネットワークの多くは、多数の計算機(ノード)と通信リンクから成る分散システムというもので構成されています。近年では分散システムの大規模化に伴い、扱うデータ量が増えてきています。そのため、ノード上のデータをそのまま送ってしまうと、ネットワークに多くの負荷がかかってしまいます。そこで、(モバイル)エージェントというものが注目を集めています。エージェントはノード間を自律的に移動するソフトウェアを指し(図1:(a)→(b))、訪問ノード上でプログラムを実行し、データの集約や蓄積を行うことができます(図1:(b)→(c))。そのため、エージェントを用いることで、リンク上を移動するデータ量を減らし、ネットワーク負荷の削減を行うことができます(図1:(c)→(d))。ただ、エージェントは個々で動作しても効果が薄いため、複数体で協調動作することが重要になります。協調動作を実現するための問題として、集合問題があります。これは、全てのエージェントが移動によって獲得した情報を基に、同一のノードに集合するような移動の設計を求める問題です(図2:(a)→(b))。集合問題を解決すると、エージェント間での情報共有や、その後の作業の分担が可能になります。

 しかし、大規模ネットワーク上でエージェントが同一のノードに集まるのは少し非現実的で、多くのコストが必要になります。そこで、私はエージェントのg-部分集合問題を新たに提起し、研究を進めてきました。この問題は、エージェントは少なくもg体以上ずつのグループに分かれて、複数のノードに集合するような移動の設計を求める問題です(図2:(a)→(c))。g-部分集合問題を解決すると、エージェントは従来の集合問題よりも少ないコストでのネットワーク管理の実現が期待できます。

 私はg-部分集合問題の他に、均一配置問題を新たに提起して研究を進めたり、ゴシップ問題・エージェントによるメッセージパッシングシミュレーションなど、エージェントの協調動作を実現する様々な研究を進めてきました。

● 今後進めたい研究

これまでに進めてきたエージェントを用いた手法を、より実践的な状況に適用したいと考えています。例えば、IoTでは今まで以上に多くのノードがネットワークへの参加や離脱を頻繁に行い、またノードや通信リンクが故障することも考えられます。そのような状況下でも、正しく動作するエージェントアルゴリズムを完成させ、将来の技術を実現するための手法の1つを確立させたいと考えています。