イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

助教

レオナルド ラナンテ ジュニア

所属
情報工学研究院
情報・通信工学研究系
プロフィール
1983
生まれ
2011
博士(情報工学)、九州工業大学
2011
九州工業大学大学院
情報工学府情報システム専攻
博士後期課程修了
2007
フィリピン大学
大学院電気電子工学研究科
電気工学専攻博士前期課程修了

ポスドクの時に、802.11のワイヤレスLANシステムにたいへん多く関わってきました。私はその有効性だけでなくそのデザインのシンプルさにより驚かされました。このため私は、MIMOデコーダ、フロントエンド効果補償、およびマルチユーザーアルゴリズムを含む次世代のワイヤレスLANシステムを作るための新しいアルゴリズムを開発することに取り組み始めました。

受賞
1.IEEE VTS Japan 2009 Young Researcher’s Encouragement Award(奨励賞)
2.Philippine Council for Advanced Science and Technology Research and Development (PCASTRD) Oustanding Thesis and Dissertation Award 2008 (Microelectronics Category winner)

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効率的なワイヤレスコミュニケーション
Efficient wireless communication.

● 研究テーマ

  • 混雑したネットワーク環境におけるマルチアクセスが可能なワイヤレスLANシステムの開発
  • Development of multiple access capable wireless LAN in dense networks.

● 分野

通信・ネットワーク工学、計算機システム・ネットワーク

● キーワード

IDMA, IEEE802.11ax, OFDMA

● 実施中の研究概要

 現在、IEEE802.11委員会は、非常に多くのユーザーがアクセスする混雑した環境で、ワイヤレスLANのスループットが低下する問題を解決するために、タスクグループを形成しています(Figure1参照)。この問題を解決する有望な手法の一つは、アップリンクマルチアクセス送信を採用することです。WIMAXやLTE-advancedなどのより高度なワイヤレスのシステムにおいて、すでに実用化されているこの技術は、2人以上のユーザから同時通信を行う場合に、通信障害(衝突やパケット損失)を抑制することができます。アップリンクマルチユーザアクセスの為の技術候補としては、それぞれに有利・不利はありますが、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、アップリンクマルチユーザーMIMO(Multiple Input Multiple Output)、そしてIDMA(Interleave-Division Multiple-Access)があります。これらの中で、IDMAは、混雑したネットワーク環境で、WLANシステムの効率を増大させるのに非常に効果的であるという、大変魅力的な特性を持っています。Figure2においてIDMAは、個々のクライアントの信号を区別するために、固有なインターリーブ(再配置)パターンを使用しています※。他の利点として、IDMAは、通信資源の複雑なスケジューリングをすることなく、理論的には、無限の数のユーザが同時に通信することを可能にするでしょう。
 私達は現在、既存のIEEE802.11システムで動作可能な、IDMAに基づくアップリンクマルチアクセス技術を開発しています。また、このプロジェクトは総務省から受託を受けて進めており、順調に進んでいます。

※(補足説明)IDMAにおいて送信では、複数のユーザにそれぞれ固有のインターリーブパターンを渡し、その固有のインタリーブパターンを利用して送信します。複数のユーザが同時に通信しているので、信号自身は混信(干渉が起こっている)ようになりますが、ユーザごとにインタリーブパターンは固有ですので、受信機でうまく捜査してあげると、信号をユーザごとに分離することができます。固有のインタリーブパターンですので、スケジュールしなくても取り出すことができます。

Currently, the IEEE802.11 committee created a task group to solve the problem of wireless LAN throughput degradation in dense environments where too many clients request access (see Figure 1). One of the promising solutions for this problem is to adopt uplink multiple access transmission. This technology which is already used in more advanced wireless system such as WIMAX or LTE-advanced allows simultaneous transmission from 2 or more clients without generating collisions or packet loss.

There are many candidate tehcnologies for uplink multi-user access such as OFDMA, uplink multi-user MIMO and IDMA each with their own advantages and disadvantages. Among these, IDMA has very attractive properties which could be very effective in increasing the efficiency of WLAN systems in dense networks. IDMA shown in Figure 2 uses unique interleaving pattern to distiguish between the signals of each clients. Among other advantages, IDMA can enable virtually unlimited number of clients simultaneous transmitting without complicated scheduling of resources. Hence, we are currently developing an IDMA based uplink multi access scheme that will work with current IEEE802.11 systems. This project has received a funding from the ministry of internal affairs and communications and is advancing well.

Figure 1. 802.11ax

Figure 2. IDMA vs OFDMA

※図をクリックすると、大きく表示されます。

● 今後進めたい研究

 今日の技術ができることは、限りなく増大し続けています。数年前には実施することが不可能であったアルゴリズムは、最近では、すでに広く一般的なものになっています。
 私はこのトレンドにならい、最先端テクノロジーを使って無線通信システムを改善するための、高度なアルゴリズムの研究を続けたいと思います。この研究には、MIMOのための最尤検出、非線形プリコーディング、および全二重無線通信技術も含んでいます。

The capability of today's technology keeps on increasing seemingly without end. Previous algorithms that were impossible to implement years ago are already very common nowadays. Following this trend, I would like to pursue research in advanced algorithms for improving wireless communication systems using state of the art technology. These includes maximum likelihood detection for MIMO, non-linear precoding, and full duplex radio technologies.

● 特徴ある実験機器、設備

大規模FPGAボード、LSI設計ツール, IEEE802.11送受信機

● 知的財産権(技術シーズ)

1. 特許公開2011-229090 プリアンブル信号生成装置、プリアンブル信号生成方法、
プリアンブル信号生成プログラムおよびプリアンブル信号を記録した記録媒体
発明者:レオナルド ラナンテ ジュニア、長尾 勇平、尾知博
2. 特願 2012-186970 プリコーディング装置およびプリコーディング方法並びにプリコーディング処理プログラム
発明者:尾知博、藤田尚吾、レオナルド ラナンテ ジュニア、長尾勇平、黒崎正行

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【受託研究】
総務省SCOPE 電波有効利用促進型研究開発 平成26年度 若手ワイヤレス研究者等育成型(フェーズI)
 「無線LAN端末密度の高い環境下における周波数の高効率利用を目的とした 次世代マルチアクセス方式に関する研究開発」

● 研究室ホームページ