イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

助教

趙 謙

チョウ ケン

所属
情報工学研究院
情報・通信工学研究系
プロフィール
2014 熊本大学大学院自然科学研究科情報電気電子工学専攻博士後期課程修了
2011 熊本大学大学院自然科学研究科情報電気電子工学専攻博士前期課程修了

「集積回路の実装密度は18カ月ごとに倍になる」。この有名な「ムーアの法則」は微細化技術の物理的限界に近づく、10年内に終点を迎える予測があります。半導体の進化が鈍化したポスト・ムーア時代のカギは、既存プロセスの性能を十分に発揮できる専用ハードウェアです。そこで私は柔らかいハードウェアと呼ばれる集積回路、FPGAの構造・設計・適用手法について研究しています。

受賞
Fault-tolerant FPGA: Architecture and design for Programmable Logic Intellectual Property Core in SoC、優秀リコンフィギャラブルシステム論文賞、電子情報通信学会リコンフィギャラブルシステム研究会(2015年)
Connect6 FPGA設計試合第4位、国際会議HEART2012(2012年)
Efficient Permutation-based Boolean Matching for VGLC Technology Mapping、情報処理学会九州支部奨励賞、情報処理学会九州支部(2009年)
A Boolean Matching Method for VGLC Technology Mapping、若手の会セミナー賞、情報処理学会九州支部(2008年)

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柔らかいハードウェア:ポスト「ムーアの法則」時代における性能向上のカギ

● 研究テーマ

  • ❖大規模FPGAクラスタシステムの構築と開発手法

● 分野

計算機システム

● キーワード

FPGA, Reconfigurable Computing

● 実施中の研究概要

本格的なIoT時代が到来し、ビッグデータ処理やマシンラーニング技術が著しく発展しているにも関わらず、クラウドサーバやIoT端末の処理形態として大半はCPUプロセッサが用いられています。ポスト「ムーアの法則」時代における処理の高速化と低電力化を実現するため、FPGAの運用で代表される柔らかいハードウェア技術(リコンフィギャラブルシステム)が注目されています。

FPGAは内部回路が再構成可能な集積回路であり、専用ハードウェアの実装により、CPUと比較して数十倍の性能向上を実現できます。一方で、大規模FPGAクラスタシステムの構築と開発手法に関する研究・実践はまだ不十分のため、設計コストの低減や従来のソフトウェア設計資産の再利用など課題が存在します。

そこで私は、ハードウェア開発言語、使用デバイスに依存しない設計・実装フレームワーク「hCODE」を提案することで、FPGAの設計容易化を可能とします。具体的には、アプリケーションに依存しないShell論理とカスタムIP論理に分割し、Shell-and-IP設計パターンを用いて設計を行います。また、プロジェクト管理など支援ツールの提供することで、ハードウェア設計の再利用と移植性を実現しています。

また、FPGAクラスタの使用効率を向上するため、1個のFPGAのリソースを複数FPGAとして利用する仮想化Shellを設計しました。そしてFPGAを用いたクラスタシステムを管理するため、マスターとスレーブサーバを実装し、クラスタレベルでのアクセラレータ生成、FPGA再構成、HWリソースモニタリング、アクセラレータスケジューリングなどの機能を容易に実現できます。

● 今後進めたい研究

柔らかいハードウェアの導入により、従来のハードウェア設計とソフトウェア設計の境界線が薄くなっています。様々な処理の最適化のため、CPU・GPUなど汎用プロセッサとFPGAに実装できる多様な専用プロセッサを統一した設計・実装手法が必須となります。今後、私は上述の完全なヘテロジニアス計算システムの形態とその設計手法を究明していきたいと考えています。

● 特徴ある実験機器、設備

FPGAを用いて、コンピュティングリソースとネットワークが再構成可能な柔らかいコンピュティング実験システムを構築しています(図1)。
本システムは下記3つのサーバで構成されます。
Server1: FPGA KUC1500を用いて再構成可能なネットワークスイッチが構築できます。
Server2: CPU・GPU(GTX 1080Ti)・FPGA(ADM-PCIE-KU3)を統合したヘテロジニアスコンピュティングシステムが実現します。
Server3: ZCU102 FPGAボードを用いて組込みシステム向けFPGAアクセラレーションシステムの研究ができます。

● 知的財産権(技術シーズ)

【特許】A Porting Method for FPGA Application Circuits、中国、201710475563.X(出願中)(2017)

● 過去の業績

【翻訳書】FPGA的原理和构成、「FPGAの原理と構成」(天野英晴編,オーム社,2016年)中国語版翻訳(2018発行予定)
【翻訳書】CPU自制入门、「CPU自作入門」(水頭一壽,米澤遼‎,藤田裕士著,技術評論社,2012年)中国語版翻訳(2013)

● 研究室ホームページ

https://github.com/hCODE-FPGA/hCODE