イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

助教

清水 文雄

しみず ふみお

所属
情報工学研究院
物理情報工学研究系
プロフィール
1965
生まれ
1995
博士(工学)
東京農工大学
1995
東京農工大学大学院
工学研究科博士後期課程機械システム工学専攻修了
1991
東京農工大学大学院
工学研究科博士前期課程機械システム工学専攻修了

「研究テーマへの動機」
(1)『節水型トイレの排水性能向上に関する研究』
 環境に関する研究テーマに関心がありました。企業との共同研究でこのテーマの話があったので、よろこんで研究を始めました。
(2)『防音カバーを用いた騒音低減法に関する研究』
 学生の頃から、音のシミュレーションに興味があったのですが、非常に難しい計算であるため、なかなか手が出せませんでした。既存ソフトウェアとの融合という考えを用いれば、実現できそうなことに気がつきました。

より詳しい研究者情報へ

「節水型トイレで水不足も解消」 「設計時に使える騒音伝搬の評価手法」

● 研究テーマ

  • ❖①節水型トイレの排水性能向上に関する研究
  • ❖②防音カバーを用いた騒音低減法に関する研究

● 分野

①流体工学、混相流
②建築環境・設備、音・振動環境

● キーワード

①サイホン、気液二相流、ジェット
②音響振動、遮音、防音カバー

● 実施中の研究概要

①日頃から誰でも簡単に行える節水対策が重要であり、本研究では、節水型トイレの性能向上を目指すために、汚物・汚水などの排出性能は維持したまま、使用する水量を減らすための方法を模索します。本研究では、ポンプなどの電力エネルギーを必要としない、サイホン現象を用いることが有効と考えました。トイレの排水管内部でサイホン現象を発生させ、サイホン現象の力で汚物・汚水を排出させることで、排出性能は維持しつつ節水化が図れるためです。そのため、排水管内で「サイホン現象を早期に発生させる」ことが重要であり、高速度カメラによる流動観察、自作プログラムによる数値シミュレーションを通じて、気液界面の挙動把握、ジェット位置や流路形状によるサイホン現象発生の違いを調べています。可視化実験・数値シミュレーションともに、気液界面の大まかな挙動を捉えることができるようになりました。今後は、流路形状やジェット条件を変化させ、節水性能が向上するような流路形状やジェットの条件を模索します。

②建設機器などから、発生する騒音を低減させる方法を模索することが目的であり、設計時に応用可能な手法の開発を目指しています。騒音源自身の音を小さくすることは難しいので、カバーや防音壁の工夫により、外へ漏れ出る音を小さくしようと考えています。放熱の必要性からカバーを密閉することは不可能であり、カバーにあける穴の位置や形状の工夫によって騒音低減を目指します。
音源近傍では、熱の影響、流れの影響、カバーの材質の影響が複雑に絡み合うため、音の伝搬を計算することが難しくなります。そこで、この近傍場は、既存の音響解析ソフトウェアを利用して、その音響特性を調べ、カバー外部の遠方音場では、比較的簡単な数値解析が可能であるため、自作プログラムにより音の伝搬計算を行います。この「既存ソフトウェア+自作プログラム」により、騒音伝搬の様子を解析することを目指します。現在は、立方体カバーの振動と漏れ出る音の関係を、実験的および既存ソフトウェアを用いて調べています。今後は、遠方場を解析するための自作プログラムの開発、穴あきカバーの特性調査を進めていきます。

● 今後進めたい研究

環境(水問題や騒音対策)に関連した研究を進めていきたい。

● 特徴ある実験機器、設備

高速度カメラおよび光源(アルゴンイオンレーザ)  
所属研究室で所有

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

「三相流の流動解析に関する基礎技術の研究」
「トイレ排水時に見られる気液二相流および固気液三相流を解析するために必要となる、実験手法および数値解析に必要な基礎技術の確立を目的とした研究」

● 研究室ホームページ

サイホン現象の数値シミュレーション

サイホン現象の可視化実験

防音カバーの振動の様子