イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

准教授

入佐 正幸

いりさ まさゆき

所属
情報工学研究院
生命情報工学研究系
プロフィール
1963
生まれ
1996
博士(理学)
大阪大学
1991
京都大学大学院
理学研究科化学(博士)
満期退学
1988
九州大学大学院
理学研究科物理学専攻
修士課程修了

天体観測、卓球、幾何学、音楽鑑賞(ロックからクラッシック)、書道、バードウオッチングと多趣味。子供とともに、昼はクワガタを捕り、夜はゲンジボタルを捕まえる飯塚キャンパスの学究生活は最高!

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細胞の大半を占める水。分子レベルでの生物との関わりに物理学が役立ち始めた

● 研究テーマ

  • ❖【タンパク質の立体構造予測に関する研究】
  • 溶液化学理論を用いて、タンパク質を題材とした生物化学物理の問題を研究しうる理論手法を開発・タンパク質の3次元立体構造予測問題や、タンパク質間の相互作用を、水の効果を取り入れた(上記)手法を使って研究します。

● 分野

数理物理・物性基礎、物理化学、生物物理学

● キーワード

熱変性、凸包、会合、エントロピー、溶液理論、フィラメント形成、ボロノイ図形、scaled particle theory、熱容量、タンパク質、水、疎水水和、溶解度、比熱、SPT、計算幾何学、αシェイプ、排除体積、露出表面積、ビリアル係数、高分子込み合い効果、depletion effect、アクチン、モータータンパク質、化学-力学変換

● 実施中の研究概要

溶液中のタンパク質分子を題材とした生物化学物理の問題を解決しうる理論手法を、溶液の理論(物性理論)を用いて開発することが、私たちのテーマです。
生命現象を司る「もの」(実体)は生体高分子です。特にタンパク質分子は「機能」を持ち、また一方では生物そのものを形作っています。分子進化と呼ばれるように、タンパク質分子の組み合わせの変化が分子進化に相当します。タンパク質分子の際立った特長の一つは、水中で一つの立体構造をとることです。現在では、特定の立体構造を持つことが「機能」に必要不可欠であると考えられています。
当研究室では、拡張scaled particle theoryを構築してきました。この理論の構築には微分位相幾何学、および計算幾何学を道具としました。また、疎水相互作用にはXSPTを、親水相互作用にはPoisson-Boltzmann 方程式に基づく静電場計算を用いることにより、水和における2つの成分を同一の分子モデルから計算しました。
現在、分子の水和に関する熱力学量をXSPTを用いて計算し、計算にはコンピュータを使用して、任意の立体構造を持つ巨大分子(400残基程度)の水和自由エネルギー計算に成功しています。

● 今後進めたい研究

生物の理論的理解として面白い問題は、通常の分子動力学では再現不可能な長時間でのタンパク質分子の挙動を、XSPTを用いることによりコンピュータで理論計算します。また、タンパク質分子の3次元構造予測問題、筋肉の動作原理の解明(モータータンパク質のエネルギーに関する分子間相互作用の解明)にも貢献すべく研究を進めています。

● 特徴ある実験機器、設備

バーチャルリアリティ(VR)による分子表示システム。立体視システムをLinuxで構築。現在、普及し始めた最高品質の3D映画と同等の立体視方式。磁場感知型の3次元位置センサー。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

これまで統計力学的手法を用いて、任意の形状の溶質を含む水溶液の構造、および熱力学的性質を導出しうる理論(拡張scaled particle theory)を構築してきました。この理論の構築には、微分位相幾何学、および計算幾何学を道具としました(図1)。幾何学が必要となったのは、分子レベルの理論であるため、溶質分子の排除体積の解析的計算が必要だったからです。また、疎水相互作用にはXSPTを、親水相互作用にはPoisson-Boltzmann方程式に基づく静電場計算を用いることにより、水和における2つの成分を同一の分子モデルから計算しました。

● 研究室ホームページ

図1タンパク質を3次元で表現します。

図2立体モデルを投影するプロジェクター