イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

神谷 亨

かみや とおる

所属
工学研究院
機械知能工学研究系
プロフィール
2001
博士(工学)
九州工業大学大学院
1996
九州工業大学大学院
工学研究科博士前期課程
電気工学専攻修了

画像処理技術は、顔認証、ロボット分野、衛星写真の分析、医療分野等多岐に渡り利用されている。私たちは、CT等の医療分野で用いられている画像から、医師の診断支援を行うためのシステムの構築、衛星画像からの環境変化を検出するための画像認識法、身障者の生活の質を向上するための電動車いすの自動運転に必要な画像解析法の開発を行っている。

引き算で分かる
身体の悪い所を表示する技術の開発

● 研究テーマ

  • ❖診断医の支援のためのコンピューター画像診断支援法の開発
  • ❖衛星画像からの時系列の変化を検出する画像解析法の開発
  • ❖車いすの自動走行のための物体検出法の開発

● 分野

知能機械学、計測工学、医用工学

● キーワード

コンピュータを用いた画像診断支援、医用システム、計測システム、人間機械システム

● 実施中の研究概要

近年医療現場では、たくさんの画像情報を利用した診断が行われています。画像情報を有効に利用することにより、早期発見や早期治療が可能となり、患者のQOL(Quality of Life)の向上が期待できます。
私たちは、医師の画像診断時における診断の効率化を図るための画像解析法を開発しています。特に、同一患者の過去と現在の二つの時系列で得られる画像を位置合わせし、両画像を引き算することによって得られる経時的差分像の生成法に力を入れています。精度良く差分画像が生成できれば、両画像間の変化を示す差分像には、新たに発症した病変部や既存病変部の大きさの変化が容易に強調表示できます。これらのシステムを効率的に利用することで、見落としの軽減等の診断性能の向上や診断の効率化が期待できます。他にも、高齢化によって普及が進んでいる車いすの自律走行に必要な歩道上の様々な環境(横断歩道、信号機や自転車等)を自動認識するための画像認識に関する研究に取り組んでいます。さらに、聴診音からの病気を診断する医師への支援を目的に、深層学習技術による肺音の診断支援を行うための技術開発や産業界のニーズにも的確に対応するため、各種欠陥の自動認識技術の開発にも力を入れています。

● 今後進めたい研究

一回の撮影から得られる医用画像で、異常陰影の候補領域を抽出し、医師へ提示できる診断支援ソフトウェアの開発

● 知的財産権(技術シーズ)

▶『医用画像処理方法及びその装置、プログラム』 (特開2007-282906)
▶『A voxel (注1)matching technique for removal of artifacts in medical subtraction images』:IPC8 Class AG06K900FI, USPC Class 382130 (米国) (経時的差分像上のアーチファクト(虚像)低減のためのボクセルマッチング法)
▶『画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム』 (特願2009-168198)
(注1)2次元の画像の最小単位をピクセルと呼ぶのに対し、Voxelは3次元座標上に取り入れた最小単位のこと。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【共同研究】
▶胸部MDCT(注2)像からのスリガラス状候補陰影の自動抽出に関する研究
▶過去・現在の異なる画像の位置合わせ法に関する研究
▶頭部CT・MR画像の位置合わせ法に関する研究
▶CR画像から指骨領域の自動抽出に関する研究

【受託研究】
▶ニューラルネットワークによる過去・現在の胸部CT画像からの異常陰影候補領域の自動抽出
▶胸部MDCT画像の経時差分法の開発と病変部候補領域の抽出
▶脳外科手術ロボットを支援するための高精度な画像位置合わせシステムの開発
(注2)マルチスライスCT(multi detector-row CT)または多列検出器CT 。X線を扇状に照射し、検出器自体を対軸方向に細かく分割したもの。広い角度を同時に検査でき、検査時間の短縮や時間分解能の向上が図れる。

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

❖ より詳しい研究者情報

過去CT画像

現在CT画像

差分演算による経時差分画像:差分演算により、新たに発症した病巣陰影が強調表示できている

歯科用画像表示ソフトウェアによる表示例