イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

准教授

西田 健

にしだ たけし

所属
工学研究院
機械知能工学研究系
プロフィール
1974
生まれ
2002
博士(工学)
九州工業大学大学院
2002
九州工業大学大学院大学院工学研究科博士後期課程設計生産工学専攻修了
1999
九州工業大学大学院工学研究科博士前期課程設計生産工学専攻修了

私は、「コンピュータ(頭脳)」⇔「アクチュエータ(身体)」⇔「環境」の相互作用で創発される「運動知」に関する研究を行っ ています。これは、ロボットの環境適応、各ユーザに適応するための学習機能、安全性の高い行動の自動生成などに必要な要素技術で、従来のロ ボット技術と一線を画する「確率ロボティクス」と呼ばれる理論体系に基づいています。ロボットが自ら個性を獲得するための研究とも言えます。 最近は研究の一環として、ロボットが環境をより柔軟に認知する手法や、工業用大規模フィルム加工装置のセルフチューニング制御系の開発に成功 しました。他にも、オンライン超高次元最適化アルゴリズム、対応未知の3次元データの 超高速照合手法、自動走行シニアカーの開発など、多数の研究開発実績があります。

より詳しい研究者情報へ

「移動する知能」としてのロボットを創る

● 研究テーマ

  • ❖「移動する知能」(移動知)を実現するロボットを創る。

● 分野

制御工学、ロボット工学、ニューラルネットワーク、センサ工学

● キーワード

確率ロボティクス,移動知,ニューラルネット,確率的センシング,パーティクルフィルタ,ロボットビジョン,屋外作業ロボット

● 実施中の研究概要

【一般向け概要説明】
 動物は、様々な環境に適応する行動能力を持っています。このような適応能力を「移動知(注1)」と呼びます。効率の良い「行動」には「知能」が必要ですし、一方で「知能」の発達のためには「行動」が必要です。つまり、「知能」と「行動」を循環する輪の様なものだと考えると、生物が持つ適応能力の秘密が見えてきます。
 このような機能をロボットに組み込むことができれば、少ないセンサで、十分なプログラムを与えなくても、自動で柔軟な機能を学習し実行できるようになります。この研究の応用の一つとして、屋外作業ロボットの開発を行っています。また、ロボット以外の様々な機械の高性能化(例えば自動車技術)にもこの研究を役立てることを目標としています。

【専門家向け概要説明】
 認識工学・制御工学・ロボット工学を統合的に駆使し、「移動知」を実現するロボットの構築を目指しています。認識工学においては、ニューラルネットワークやパーティクルフィルタに関する先端的研究分野を重点的な研究対象とし、また制御工学とロボット工学に基づいて、実証実験のための屋外ロボットの開発を行っています。特に近年、決定論的な枠組みで駆動する制御系に、確率論的な状態推定器を組み込む手法を開発しました。この手法では、パーティクルフィルタを利用することで、多峰性確率ノイズを含む観測から任意精度の高次特性値を抽出できます。
 一般に、自律走行ロボットは非常に多くのセンサを搭載します。例えば、GPS、カメラ、ジャイロ、ロータリエンコーダ、力センサなどです。しかし、それらは非同期で動作し、計測原理は異なり、それぞれ複数存在することもあります(このようなセンサ群をマルチモーダルセンサ群と呼びます)。提案手法は、マルチモーダルセンサ情報(非同期、複数、異種のセンサ群から得られる情報)の統合の際に、その真果を発揮します。知りたい計測情報を算出するために、各センサ信号を非同期で確率的に統合することができます。さらに、その統合結果が多峰性を示したとしても、適切な特性値を抽出し、その信頼性を算出します。これは、ロボットが不確実性の多い実環境で作業するための必要不可欠な技術です。

(注1)動物は,様々な環境において適応的に行動することができます。このような適応的行動能力を、動くことで生じる身体、脳、環境の動的な相互作用によって発現されるものと捉え、「移動知」と呼びます。

❖ 研究の社会的意義

様々な自動機械の高性能化に寄与することを目指しています。ロボット技術や自動車の自動運転技術における本質的かつ革新的な技術開発を目指しています。

❖ 研究の新規性や独創性及び他の研究者との違いについて

決定論的枠組みで駆動される制御系の中に確率論的な状態推定器を組み込むことで、より柔軟で頑健な制御系の構築を目指していることに特徴があります。

❖ 研究者が期待・提案する産業的応用・用途

様々な生産設備の自動化や、自動車の自動運転技術への研究成果の適用。

❖ 産業的価値以外にも、受験生やその父兄にPRする内容

自動的に動作する機械を構築するために必要な要素技術を網羅することが要求される研究分野です。この分野での研究を経験すれば、ソフトウェアからハードウェアまでの幅広く実際的な技術に身につけることができます。

不確実性を持つ信号の実時間処理の応用例。柔軟物体の追跡と形状推定を確率的に行う。

屋外サービスロボットOSR-02。 自律走行により屋外で対象物を操作する能力を有する。

屋外自律移動シニアカー。障害物を回避しながら地図上の登録地点を巡回する。

 

● 知的財産権(技術シーズ)

自身のホームページで適応ベクトル量子化(高速高精度情報圧縮)のプログラムなどを公開

● 研究室ホームページ