イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

鬼束 幸樹

おにつか こうき

所属
工学研究院
建設社会工学研究系
プロフィール
1970
生まれ
1997
博士(工学)
九州工業大学大学院
1997
九州工業大学大学院
大学院工学研究科博士
後期課程
設計生産工学専攻修了
1994
九州工業大学大学院
大学院工学研究科博士
前期課程
設計生産工学専攻修了

日本では戦後、治水・利水目的で河川整備が行われました。そのため、洪水氾濫の発生頻度は減少しましたが、コンクリートを多用した河川整備によって魚類などの生息場所が奪われることになりました。近年、河川環境を再生する機運が高まっていますが、その具体的な設計指針はまだ未構築と言っても良い段階でしょう。そのため、本研究を自分自身で開始することにしました。

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「アユ」が教えてくれる自然環境のすばらしさ

● 研究テーマ

  • ❖魚のすみやすい川づくり

● 分野

水工水理学

● キーワード

河川生態系、河川環境、ハビタット、魚類の選好環境

● 実施中の研究概要

明治時代から魚道を作り、河川を遡上する魚類を守り、川の恵みを豊かにする河川開発は知られており、日本でも、戦前戦後の大型台風など風水害の影響から、治山治水目的のダムや堰(せき)が、大量に造られてきました。
高度成長期を経て、環境への意識が高まる中で、河川に生息する魚類の生態系と自然環境が注目されるようになり、魚類の遡行についても関心が深まりました。自然と共生する治水事業を目指すために、アユの生態、遡行を研究室で観察し、効果のある魚道開発の研究を進めています。
五ヶ瀬川など九州を代表するアユが生息する河川で実証研究を進め、「河川工事前」の魚の生態と「河川工事後」の生態について、予測可能な手法・技術の開発に成功しました。
これは、河川事業を実施しようとする、行政機関や漁業関係者などに、事業の事前説明する時に大いに役立つものと思います。河川開発・改修=社会悪という通念に捉われることなく、自然の象徴としてアユと共生できる河川づくりを目指しています。

● 今後進めたい研究

「魚のすみやすい川づくり」の研究は、その河川が豊かな自然を育み、人間と共生する事を目指しています。
自然を保護するだけでなく、いかに自然災害から人々の暮らしを守れる工法はないのかを研究したいと思います。

● 特徴ある実験機器、設備

アユ飼育観察用の水槽
上記の水槽は手作りでホームセンターなどで調達した資材を利用しています。
魚道を観察するために再現したものです。魚の生態や動きを観察することができます。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

『ワンドの水理特性と河川環境』 土木学会河川懇談会共同研究
『アユの産卵床と物理環境に関する研究』土木学会河川懇談会研究

● 研究室ホームページ

室内の魚道模型の全体像

五ヶ瀬川のアユの産卵床付近の水理特性の調査

五ヶ瀬川水系北川における計測風景

水中カメラを用いた潜水魚類調査