イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

池永 全志

いけなが たけし

所属
工学研究院
電気電子工学研究系
プロフィール
2003
博士(情報工学)
九州工業大学大学院
1994
九州工業大学大学院
大学院情報工学
研究科修士課程
情報システム専攻修了

より詳しい研究者情報へ

高い品質と効率を兼ね備えた新しい世代のネットワークを創り出す

● 研究テーマ

  • ❖コンピュータネットワークにおける経路制御・通信品質制御

● 分野

計算機システム、ネットワーク、通信・ネットワーク
多様なサービス連携を可能とする高信頼経路制御機構の研究
マルチホップ無線網(注)における通信品質を考慮した経路制御手法に関する研究
(注)無線LANのアクセス・ポイント間で、リレーのようにパケットを伝達していく方式。無線LAN 機器に複数の無線インタフェースを装備して、それらに複数の利用可能なチャネルを動的に切り替えながら通信する。

● キーワード

コンピューターネットワーク、インターネット、ユビキタスネットワーク、経路制御、通信品質制御、マルチホップ無線網

● 実施中の研究概要

インターネットは、1990 年代に WWW (World Wide Web) によるホームページの出現を機に、急成長を遂げ、世界規模で利用者が増大しており、今や、日常生活にかかせないインフラストラクチャになりつつあります。また、ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line) や FTTH (Fiber To The Home) といった、ブロードバンドアクセス回線の普及など、インターネット利用環境の高速・広域化が、急速に進んでおり、利用目的も、従来までの web の閲覧や電子メールなどに加え、動画配信や IP 電話など、多様化しています。そのため、ネットワークを流れるトラヒックの量が増加しているだけでなく、その性質も多様化しています。このような現状を踏まえて、ネットワーク内の資源を適切に利用するための技術が多く検討されています。本研究室では、通信品質を制御するための技術や、そのサービスの総称を示す QoS (Quality of Service) 要求を満たす事を目的に、以下のテーマについての研究を行います。

❖ IEEE 802.11無線 LAN を用いたマルチホップ無線網構成に関する研究

現在、IEEE 802.11規格に準拠した、無線 LAN 機器の普及にともない、これを面状に配置して、有線ネットワークまで、無線でデータをマルチホップして転送するという、マルチホップ無線ネットワークを構築する方法が検討されています。これにより、有線ネットワークを敷設するよりも、効率的で低価格に、大規模な無線 LAN 環境を構築できると期待されています。従来は、無線 LAN 機器に、単一の無線インタフェースを装備させ、そこに単一のチャネルを割り当てることで、マルチホップ無線ネットワークを構築する方法がとられていましたが、この方法では、ネットワークの通信性能が明らかになっています。そこで、本研究では、マルチホップ無線ネットワークで、効果的に動作する経路制御手法を提案し、シミュレーションで性能評価を行います。また、マルチホップ無線ネットワークの実用化が進む一方で、VoIP(注2) や、ビデオ会議といった、リアルタイム通信の利用が近年、急速に増加しています。しかし、無線 LAN では、有線接続と比べ、通信速度が遅く、リアルタイム通信を行うために十分な性能が得られません。そこで、本研究では、マルチホップ無線網上で、より効率良くデータの伝送を行うための制御方式を提案、シミュレーションによって性能評価を行います。
さらに、マルチホップ無線網の高信頼化に向けた、異常検出手法や、動的な網の再構成手法に関する研究にも取り組んでいます。

❖ ダイナミックネットワーク技術に関する研究

ネットワーク内部の中継装置が単なるデータの中継を実行するだけでなく、計算資源や記憶資源などのさまざまな利用可能な資源を活用して、高度な機能を提供する手法について検討を行っています。従来のインターネットでは実現できなかった機能を提供し、新たな能力をネットワーク自身が持つためには、中継装置にどのような機能が必要となるのか探求し、それによって利用者にどのような利便性を提供できるのかを詳細に評価し、新世代ネットワークの一つの方向性を示していきます。

❖ ネットワーク省電力化に関する研究

ネットワークの普及に伴って、ネットワーク機器が消費する電力も、急激に増加しています。特に、ネットワーク機器は、常時電源を入れたままで、多数運用されることから、一つひとつの機器が、消費する電力を削減することと、複数の機器が連携して、電力消費が少なくなるように制御することの両面から、省電力化に取り組むことが有効であると考えられます。そこで、ネットワークの利用状況に応じて、消費電力量を削減できる機器の制御手法や、省電力化を目指したネットワークの制御手法、および経路制御手法について検討を行っています。
(注)Voice over Internet Protocolの略。インターネットなどで使われるTCP/IPネットワークを使って音声データを送受信する技術。

● 知的財産権(技術シーズ)

『干渉検出装置、干渉回避装置、無線通信装置、無線通信システム、干渉検出方法、干渉回避方法及びプログラム』、特願 2009 - 081534
『ネットワークシステム、ノード、ノード評価方法、プログラム及び記録媒体』、特願 2008 - 312961
『マルチホップ無線通信システムの構成方法、マルチホップ無線通信システム及び無線通信装置』、特開 2008 – 172283

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【共同研究】
『無線メッシュネットワークに関する共同研究』、(2008)
【受託研究】
『ダイナミックネットワーク技術の研究開発』(2008)

● 研究室ホームページ

① ネットワークシミュレータによる性能評価

② 研究対象分野の例