イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

石丸 学

いしまる まなぶ

所属
工学研究院
物質工学研究系
プロフィール
1965
生まれ
1994
九州大学大学院総合理工学研究科
材料開発工学専攻博士課程修了
1991
東京工業大学大学院理工学研究科
金属工学専攻修士課程修了
受賞
社団法人応用物理学会第6回JJAP(応用物理学会英文誌)編集貢献賞 、 2008年
社団法人日本金属学会第66回功績賞(物性部門) 、 2008年
財団法人本多記念会第27回本多記念研究奨励賞 、 2006年
社団法人日本顕微鏡学会第6回奨励賞(物質系応用研究部門) 、 2005年
社団法人日本金属学会第6回奨励賞(物性部門) 、 1996年

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電子顕微鏡で原子の並びをみる!

● 研究テーマ

  • ❖照射場と材料の相互作用とそれを利用した材料創製
  • ❖自発的ナノスケール相分離を利用した低次元ナノ構造体の創製
  • ❖ランダム系物質の極微構造解析

● 分野

金属物性・材料、構造・機能材料

● キーワード

構造解析、照射効果、半導体、セラミックス

● 実施中の研究概要

我々の身の回りで使用されている材料は、原子によって構成されています。この原子の並び方により、材料の性質は大きく変化します。このため、材料の開発に際しては原子レベルでの構造情報を得る必要が有ります。ものを拡大してみるには顕微鏡が使用されますが、我々が通常用いている光学顕微鏡では光の波長の関係から1000倍程度しか拡大できません。一方、原子の大きさは100億分の1メートル(0.1ナノメーター)程度であるため、原子の観察にはより高い倍率の顕微鏡が必要です。透過電子顕微鏡では数万ボルトから数百万ボルトという高エネルギーで電子を加速することにより短い波長の電子線を発生させ、それを材料に当て、透過した電子を調べます。これにより、100万倍という極めて高い倍率で材料を観察することが出来、原子配列に関する情報を取得することが出来ます。ここに示した写真はコンピューター等に用いられているシリコン(Si)とその熱酸化膜(SiO₂)の界面を透過電子顕微鏡で観察した例です。下側(Si)では原子に相当する輝点(実際は分解能の関係で2つの原子が分離できていませんが)が規則正しく並んでいます。一方、上側(SiO₂)では規則性が見られず、非晶質(アモルファス)になっていることが分かります。SiとSiO₂の間には明瞭な界面が存在し、原子レベルでの凸凹が存在することも見て取れます。
本研究グループでは、最先端の電子顕微鏡技術を駆使して、様々な環境下における材料の構造変化や組織の形成過程を原子レベルで観察しています。また、確立した解析技術を用いて、国内外の研究グループとの共同研究を推進しています。

知的財産権(技術シーズ)

「ニッケル薄膜およびその形成方法ならびに強磁性ナノ接合およびその製造方法ならびに金属細線およびその形成方法」、国際出願PCT/JP2008/065924 (2008年)

「Formation of nickel film on polyethylene terephthalate substrate for formation of metal fine wire and manufacture of ferromagnetic nano-joining element used for magnetoresistive element for electronic device such as mobile telephone」、特許番号:WO2009041239-A1 (2009年)

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

①「薬剤の低付着性を実現する打錠金型製造技術の研究開発」、戦略的基盤技術高度化支援事業(経済産業省)
②「高シリコンステンレス鋼の圧延と鍛造の複合加工による超微細粒鋼の創成とその製品開発」、戦略的基盤技術高度化支援事業(経済産業省)
③「耐照射性材料の開発」、米国ロスアラモス国立研究所との共同研究
④「ナノ構造体導入による耐照射性の改善」、米国テネシー大学との共同研究
⑤「高エネルギーイオン照射による低次元ナノ構造体の創製」、米国パシフィックノースウエスト国立研究所との共同研究