イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

山村 方人

やまむら まさと

所属
工学研究院
物質工学研究系
プロフィール
1967
生まれ
1998
工学博士
京都大学大学院
1998
京都大学大学院
大学院工学研究科
化学工学専攻博士
後期課程修了
1996
京都大学大学院
大学院工学研究科
化学工学専攻博士
後期課程単位修得退学

「塗布について、業界を越えて共通の言語で、話ができるようにしよう」と1985年に生まれた塗布技術研究会は設立当初から、本学が主導的立場にありました。会の運営を通して企業会員から多くの情報・叱咤をいただくうちに、共通の現実的な問題を解ける学生を育てたいと、強く意識するようになりました。

より詳しい研究者情報へ

髪より薄いフィルムに機能を盛り込むウェットコーティング技術

● 研究テーマ

  • ❖液体薄膜コーティングと乾燥による構造形成

● 分野

化工物性・移動操作・単位操作

● キーワード

塗布、乾燥、微細構造

● 実施中の研究概要

薄膜コーティング技術は高分子やナノ粒子などを含んだ機能性液体を高精度で塗布乾燥させる技術です。本技術が高機能印刷用のインクジェット光沢紙、家電製品用のカラー鋼板、ペットボトルや飲料缶用の印刷フィルム、液晶・プラズマ・有機ELディスプレイ用の光学フィルム、コピー機用の有機感光体ドラムや中間転写ベルト、業務用ビデオテープなど私たちの身の回りの製品に使われています。
髪の毛1本分の40~80μmほどの厚さにコーティングされた液体原料の薄膜が、乾いて固体になると数μmほどの薄さになりますが、その過程では非常に複雑かつダイナミックな変化が起こり、急激な膜収縮、粒子の偏析、相構造やクラックなどが発生しています。塗布乾燥条件が適切でなければ、塗布面にはシワ・ハガレ・ヒビ・凹凸などのコーティング欠陥が発生してしまいます。
(別添図-1、2参照)
本研究室では、フィルム乾燥過程を計測評価するシステムを、独自のアイディアで提案し、実際に作製することにより、高品質のフィルムを、より高速・高精度で製造するための基礎研究を行っています。
フィルムのコーティング・乾燥は、化学工学の重要な技術の一つですが、大学でこの分野の研究を実施している研究者は全国でも数名しかおらず、九州工業大学はアジア有数のコーティング研究の拠点となっています。

● 今後進めたい研究

必要なフィルム機能から望ましい乾燥方式を選択・設計可能なエキスパートシステムの構築

● 特徴ある実験機器、設備

主要な実験機器は手作りで、コーティング工程におけるフィルム状態の変化を定量的に、かつ可視化によりリアルタイムに把握できる特徴があります。
①2溶媒系フィルムの乾燥速度評価装置:研究室で独自開発した重量/熱流束同時計測法により異なる2溶媒の乾燥速度を独立に決定できます。
②フィルム乾燥過程のリアルタイム可視化装置:研究室で独自開発した重量/可視化同時計測法により乾燥速度をモニタリングしながら、フィルム内部で発生するセル対流や分離相の構造変化を画像化できます。
③乾燥速度の高精度計測システム:溶媒乾燥速度を±0.1g/m²sの高精度で計測する装置。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

▶フィルム可視化試験および乾燥評価試験の実施:
当研究室で開発中の評価装置を用いて実工程で用いられるコーティング液での乾燥・可視化実験を実施(年間5件程度)。

▶フィルム乾燥シミュレータの開発:
乾燥工程における多成分系フィルム内部の濃度・温度分布・表面の凹凸形状を算出するための物理モデルとシミュレーションコードを民間会社と共同で開発。

▶粒子添加による高速塗布技術の開発:
塗布液中に適したサイズ・数密度の粒子を添加することでフィルム内への望ましくない気泡混入を抑制し2倍の高速化を実現。
この技術が実工程にも適用可能であることを民間企業と共同で検証済み。

▶コーティング・乾燥技術に関する各種コンサルティング:
表面凹凸の平滑化、クラック抑制、高効率乾燥、相分離構造の制御などに関する相談を実施

● 研究室ホームページ

http://www.che.kyutech.ac.jp/seminar7.html

http://www.che.kyutech.ac.jp/chem22/chem22.yamamura.html

図-1コーティング欠陥

図-2 体系化ワールド (コーティング欠陥解決ノウハウの体系化)

通気乾燥速度の測定

乾燥過程の可視化

熱流束法による乾燥速度測定

基材走行を考慮した乾燥シミュレーション

クラック進展過程の解析