イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

高須 登実男

たかす とみお

所属
工学研究院
物質工学研究系
プロフィール
1966
生まれ
1989
名古屋大学 工学部 鉄鋼工学 卒業
1994
名古屋大学 研究科 材料機能工学および材料プロセス工学(博士)修了
1994
博士(工学)名古屋大学
1994-2001
九州工業大学 講師
2001-2004
九州工業大学 助教授
2004
九州工業大学 准教授

私の専門分野では、各種の原料から素材を製造することを対象としており、多彩な現象を利用します。一見複雑にみえる現象が、一つに繋がってすっと理解できる瞬間があり、この快感が研究全体を推める原動力になっており大切にしていることです。

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鉱石、産業廃棄物からレアメタルの抽出回収・リサイクル法及び残渣の無公害化法の開発

● 研究テーマ

  • ① 金属材料のリサイクルプロセスの開発
  • ② 高生産性・高効率金属製錬プロセスの開発
  • ③ 材料プロセスにおけるマランゴ二対流※の解析と制御
  • ※マランゴニ対流:界面張力は温度・濃度・電位によって変わります。場所によって、界面張力が変化
  • していると力の差によって流れが生じます。この現象をマランゴニ対流といいます。

● 分野

金属生産工学

● キーワード

材料リサイクル、金属材料、金属製錬、プロセス開発、廃棄物処理、高温融体、表面張力、数学的モデル、熱物性、移動速度論

● 実施中の研究概要

環境調和を目指し、各種の金属素材の製錬およびリサイクルのプロセス開発、また、プロセス開発に必要な基礎現象の解明に取り組んでいます。鉱石、スラグ、ダスト等を対象として、Cu, Pb, Zn, As, Cr, Ni, Mn, Mg, Si, Pt などの分離・回収や安定化についての研究に従事してきた経験や研究手法を活用しています。特に、処理対象のマクロ的およびミクロ的な性状を調査し、熱力学や速度論に基づいて、乾式処理、湿式処理、電解処理を用いた新しいプロセスの開発を行なっているところに特徴があります。
①天然資源の節約、環境負荷の低減、廃棄物の低減を目指した、スラグ、溶融飛灰、電気炉ダストの再資源化、無害化プロセスの開発研究
②金属製錬の生産コスト、消費エネルギー低減を目指した、高融点、高反応性融体保持のため耐火物冷却システムの開発研究や銅精鉱の硫酸浸出のためのマイクロ波加熱処理の応用研究
③界面を通しての熱・物質移動を、局部的に促進する能力が高いという特徴をもつマランゴニ対流を、材料プロセスに新規活用することを念頭にした、シリコンからの不純物除去法の開発研究

● 今後進めたい研究

世界的に天然資源が枯渇しつつある一方で、素材を製造すると二酸化炭素はもとより重金属や硫黄が発生し、また、使用済み物質の廃棄場所が不足気味であるといった問題に対応すべく、素材の分離回収(例えばレアメタル、レアアースなど)や不純物の除去により、素材を再利用する研究を更に進めます。また、民間企業や公的機関との共同研究も行なっていますが、今後、連携による相乗効果を更に高めていきたいと考えています。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

① 亜鉛電解における液流動と電解挙動の解析(2008)
② 地球資源の有効利用を目的とする再生技術の研究(2007)
③ 資源やプロセスの調査研究(2007)
④ 飛灰の資源化に関する研究(2005)
⑤ 各種酸化物のスラグへの溶解挙動の解明(2004)

● 研究室ホームページ

示差熱分析機によるリサイクル原料の性状調査

3D-SEMによる試料の性状調査

遊星ミルによる試料の前処理

焼成試験用電気炉