イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

生命体工学研究科

教授

西田 治男

にしだ はるお

所属
生命体工学研究科
生体機能応用工学専攻
プロフィール
1980 
熊本大学 工学研究科工業化学専攻修士課程終了
1995 
博士(工学) 東京工業大学

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グリーンケミストリーで持続可能な地球環境をつくる

● 研究テーマ

  • 資源循環型マテリアルとシステムの創製

● 分野

環境技術・環境材料、地球・資源システム工学、リサイクル工学

● キーワード

グリーンケミストリー・エコマテリアル・リサイクル・重合・分解

● 実施中の研究概要

バイオプラスチックの資源循環: 20世紀は「化学工業」が発展して人類に多くの有用なものを提供してきました。しかし、これまで、プラスチックは使用済みとなった瞬間からゴミとなり、地球環境を汚す要因になってきました。そこで植物由来や微生物が作り出すもので環境分解性のバイオプラスチック、たとえばポリ乳酸:PLAやポリ(3-ヒドロキシ酪酸):PHBの研究開発を進めてきました。バイオプラスチックは環境適合性もあり、その利用はカーボン・ニュートラル(2酸化炭素の排出抑制)に繋がります。その上さらに、バイオプラスチックは循環利用もしやすいというすごいメリットも兼ね備えています。バイオマス由来で循環利用ができる。それだけで、脱石油と国内に蓄積した資源の再利用が可能です。それで、この循環利用技術の開発に携わってきたのです。
ただし、石油由来のプラスチックをバイオプラスチックに置き換えるだけでは、現状では人間社会の根幹である食料供給と競合を招いてしまいます。またバイオプラスチックを一方通行で生分解するだけなら環境負荷も増大し、リサイクルの輪も大きくなってしまいます。そこで使用済みのものを効率的に回収し、再利用する仕組みが必要となります。いずれ枯渇する石油資源なので、いかに長く資源として使用するかという視点から、バイオプラスチックの混合や回収時の容易な分別、再合成などの手法の研究は大切です。資源の循環利用技術というのは、上手に壊してまた再生する技術なので、これまでの作るだけの技術よりも、格段に難しくなります。それで、コンピュータのフル活用が必要なのです。具体的には、動力学解析理論の展開とそのコンピュータシュミレーションプログラムへの翻訳を行い、動力学解析から推測された解重合メカニズムを精密な化学分析手法によって証明することを行っています。これは「持続可能な社会システム構築に必要な材料・技術の創製を進める」という研究目標のベースとなっています。

未利用バイオマス資源”竹“の利用展開: 竹は、3ヶ月で20mの高さに達し、竹林を皆伐しても3~5年で元通りなる極めて成長の早い植物であり、西日本を中心に数千万tもの膨大な賦存量を有するわが国随一の単一未利用資源です。しかし、その堅牢な組織構造のため非常に粉砕しにくく、工業用バイオマス資材としての利用展開が進んでいません。
竹は、その特異的な組織構造として維管束を取り囲む形で一次元に伸長したセルロース繊維からなる維管束鞘、いわゆる“竹繊維”を持っています。この“竹繊維”は、ミクロフィブリルが集合し、ヘミセルロースとリグニン成分が取り囲み内部に充填された堅牢な構造を取っています。この“竹繊維”を有効利用することを目的に、常圧の過熱水蒸気(SHS)を用いて処理することによりヘミセルロース成分を優先分解することで、竹の短繊維を取り出せることを確認しました。さらに、取り出した竹の短繊維とプラスチックとを複合化することで、高い強度物性と熱変化の少ない寸法安定性、さらに帯電しない機能などを持ったバンブー/プラスチックコンポジットを作成し、自動車、家電・IT機器、建材分野などへの利用展開を推進しています。

● 今後進めたい研究

現在はバイオプラスチックについては、その資源循環のための解重合プロセスのコンピュータシミュレーション技術の高度化と社会実装のための実証研究を企業とともに進めているところです。また、竹繊維については、効率的なセルロースナノファイバーへの解繊と表面機能化の技術開発を進めています。すでに九州管内の複数の自治体でバイオマスタウン構想に組み込まれ、企業コンソーシアムなどで事業化への取り組みが検討されています。将来は人間の叡智が生み出した「化学工業」が地球環境の破壊に繋がるのではなく、地球環境を守り持続可能な世界を作ることに貢献できることを願い研究を発展させたいと思います。

● 特徴ある実験機器、設備

大型押出成形機
各種過熱水蒸気処理装置
3次元レーザー顕微鏡
顕微赤外吸収分光分析計(FT-IR)                       
示差走査熱量計(DSC)
熱重量測定装置(TG-DTA)
プラスチックの分子量分析装置(GPC)

● 知的財産権(技術シーズ)

特許関連 (約150件)                                     
1. “ラクチドの製造方法”
西田治男、樊 渝江、白井義人 特許第4458422号
2. “ポリ乳酸又はその誘導体からラクチドを回収する方法”
西田治男、樊 渝江、白井義人、特許第4517069号
3. “ラクチドの回収方法”
西田治男、本山 徹、白井義人、特許第5136880号.
4. “難燃化乳酸ポリマー組成物からのラクチドの回収方法”
西田治男、附木貴行、山田康之、白井義人、特許第4986244号
5. “ラクチドの回収装置および回収方法”
附木貴行、安田信彦、橋本憲明、西田治男、白井義人、特許第5051729号
6. “乳酸オリゴマーおよびその成形体”
西田治男、白井義人、永田浩一、特許第5219093号
7. “ラクチドの回収方法”
西田治男、白井義人、特許第5376373号
8. “竹繊維およびその製造方法ならびに竹繊維を用いた複合材の製造方法”
西田治男、永田浩一、白井義人、特許第5656167号
9. “竹の熱処理装置”
西田治男、安岡丈博、山城恵作、特許第5713413号
10. “高分子複合材料用帯電防止剤および帯電防止性部材”
西田治男、松本健太郎、特許第5656174号
11. “バイオマスナノ繊維の製造方法およびバイオマスナノ繊維・高分子樹脂複合体の製造方法”
附木貴行、西田治男、特許第5660513号

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

2000-2006 ドイツ ヘンケル社との共同研究
2004-2006 JSR社との共同研究
2007-2009 武蔵野化学研究所との共同研究
2011-2013 西日本電線との共同研究
2011-2012 岐阜プラスチックとの共同研究
2012-2013 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターからの受託研究
2012-2014 バイオインダストリー協会からの受託研究
2012-2013 独立行政法人科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム
2012-2015 文部科学省 大学発新産業創出拠点プロジェクト補助金
2013    独立行政法人科学技術振興機構(JST) 研究成果最適展開支援プログラム
2013-2016 八女市バイオマス利活用試験調査研究委託
2013-2014 東洋製罐株式会社からの受託研究
2014-2015 公益財団法人北九州産業学術推進機構からの受託研究
2015-2016 株式会社日立製作所との共同研究

● 研究室ホームページ

● 関連ホームページ

『竹のチカラ』

● 研究紹介

再生可能資源からの合成と循環利用技術の展開

最小限のエネルギーによる資源循環システムの開発

ポリ乳酸の精密な循環化学の深耕

未利用資源“竹”の工業資材への利用展開

“竹”の繊維化のための実証プラント(八女サテライトラボ)

常圧過熱水蒸気処理装置

3次元レーザー顕微鏡

顕微赤外吸収分光分析計(FT-IR)

示差走査熱量計(DSC)

熱重量測定装置(TG-DTA)

プラスチックの分子量分析装置

● (公財)北九州産業学術推進機構研究者ページ

http://fais.ksrp.or.jp/05kenkyusha/srchresult.asp?ID=h-nishida01