イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

ベンチャー育成のための環境整備に関する方針

令和2年4月1日

ベンチャー育成のための環境整備に関する方針

先端研究・社会連携本部 産学イノベーションセンター

 平成18年度の経済産業省調査によれば本学の大学発ベンチャー企業数は42社で全国第9位にランクされており、大学の規模に比して極めて高い数となっているが、未だ上場に至ったベンチャー企業が存在しない等、依然内在していると考えられる問題も存在する。そこで、先端研究・社会連携本部 産学イノベーションセンターでは、本学の現状および北部九州におけるベンチャーの起業状況に鑑み、今後期待される更なる展開に向けて、九州工業大学におけるベンチャー育成のため環境整備の今後の方針を以下のとおり策定した。

1.施設面における環境整備

 これまでに、飯塚キャンパスにはインキュベーション施設、戸畑キャンパスには先端研究・社会連携本部 産学イノベーションセンターの共同研究室と、サテライトベンチャービジネスラボラトリー(SVBL)のインキュベーションルーム、さらに若松キャンパスには財団法人北九州産業学術推進機構のインキュベーション施設が整備され、施設面からの環境整備が行われてきた。また、平成18年度には本学のインキュベーション施設規定を改正して、本学に関係する企業や、本学の教員や学生によるベンチャーに対して支援する体制が取られ、ひとまず環境整備は完了したものと考えられる。しかし、今後も定期的にこれらの施設の状況を調査、検討し、その結果をこれらの施設の運営に反映させるよう努力することによって、将来にわたって時代と社会の要請に十分に応えられる体制を維持する方針である。

2.教育面における環境整備

 平成17年度より生命体工学研究科において「ビジネスプラン1・2」を新設し、ひびきのエリアにおける「単位互換制」講座として早稲田大学大学院および北九州市立大学からの履修を可能とした。さらに平成18年度から九州工業大学ビジネスプランコンテストを実施し、地域と協力したベンチャー育成事業を開始した。平成19年度からは、本コンテストへの参加資格を学生のみならず社会人へと拡大し、「ビジネスプラン1・2」についても平成20年度より大学院工学府における社会人プログラム実践科目とし、同時に工学府社会人修学支援講座の科目に指定することによって、工学府の学生および社会人の受講を可能とした。このため、ビジネスプランの演習に続いて、実践の場としてのコンテストを学内外の人材に対して提供できることとなり教育面での環境が一通り整備された。さらに、平成14年度より、「起業家育成塾」、平成17年度より「事業開発ビジネス講座」として続いている学内外に開かれた講演会事業、さらに平成17年度より月一度開催されてきた三木会も教育面における環境整備の一端を担ってきた。
 今後とも、これらの演習、コンテスト、講演会事業を確実に継続することによって、教育面における環境を維持する方針である。

3.ベンチャー育成面における環境整備

 本学の大学発ベンチャー各社の現状を検討した結果、ベンチャーの育成のためには上記の施設面と教育面からの支援以外に、ベンチャー企業における経営面からと資金面からの支援が不可欠であるとの結論に達した。

①経営面からの支援

 ベンチャーの健全な育成のためには、発明者や技術者に見られる当該技術への思い入れを排除した冷静な経営面からの判断が非常に重要であるので、経営面からの有益な助言が可能な優れた人材の配置が必要である。このような人材の配置のためには、経営面からの助言能力がある人材の発掘、コンサルタントとしての配置、ベンチャーへの人材の紹介、さらには人材の配置システム等の、解決が必要な多くの問題が存在する。九州工業大学独自の事業とすることが可能か、あるいは地域として複数の機関が協力して基盤を整備する必要があるのか等、今後、より実現性のある方法を、継続して検討する必要がある。

②ファンド

 ベンチャーの育成のためには、ファンドの整備が欠かせないが、この問題については、大学単独のファンド整備は極めて難しいと判断される。大学発、あるいは地域のベンチャーの支援のためのファンドについては、地域の諸機関、金融関係者等と、継続して協議し、大学としての在り方を研究する必要がある。