イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

講師

乃美 正哉

のうみ まさや

所属
情報工学研究院
知能情報工学研究系
プロフィール
1964
生まれ
1988
九州大学大学院
大学院理学研究科数学
専攻修士課程修了

子供のころから数学的な事に興味を持っていたように思います。平方根や対数の計算を、学校で習い覚える前に、本で覚えた事があります。また、小遣いをためて電卓やポケットコンピュータを買って、簡単なプログラムを組んでいました。子供の頃から、現在の職業に関連する事柄に興味を持っていたように思います。

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新しい情報代数学の構築

● 研究テーマ

  • ❖応用数学(代数的整数論を中心とした数理的手法によるセルオートマトンの挙動解析)

● 分野

応用数学、離散数学、力学系

● キーワード

セルオートマトン、力学系、複雑系

● 実施中の研究概要

オートマトンは、コンピュータの動作を抽象化した理論的なモデルです。
セルオートマトンも、オートマトンの一種で、細胞に相当する小さな「セル」が簡単な情報を持ち、そのセルが多数集まって、近隣のセルと情報交換を行いながら計算を行う事で自身の状態を変化させていきます。
図1は4つのセルから成るセルオートマトンが、時間の経過に従って、その様相を変化させていく様子を示したものです。セルオートマトンは生体の形成過程や結晶の形成過程の理論的モデルとして知られ、J. von NeumannやS. Wolframといった著名な研究者たちによっても研究されています。私は、主に数学的な立場から、セルオートマトンの動きを精密に説明する研究を行ってまいり参りました。
この様な研究内容のため、狭い意味での産学連携という面では、あまり貢献できる機会が無いかもしれません。むしろ、大学の中で多くの機会を与えられている数学教育の面で社会貢献を果たすことが適当かとも思います。
大学での数学教育は、単に大学だけの問題ではなく、幼児教育から高校での数学教育まで、様々な教育とも関連しています。また、学生が社会に出た後、理論的な対象に取り組むべき機会があるかもしれませんし、物事を理論的に説明しなければならない機会にも直面するかもしれません。
数学教育が関係する分野はいわゆる理系に限らず、哲学や心理学や、音楽をはじめとする芸術の分野との関連もあります。この様な幅広い視野に立って、数学教育に携わることによって、社会貢献を果たすことが、私に求められていることなのではないかと感じております。

● 今後進めたい研究

これまで行ってきた、セルオートマトンを中心とした離散力学系の研究をさらに進めるのと同時に、新たにファジィ代数学に関する研究も進めたいと思っております。これらを合わせて新しい情報代数学を構築するのが目標です。

● 研究室ホームページ

(図1)セルオートマトンが、時間の経過に従ってその様相を変化させていく様子