イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

教授

梅田 政信

うめだ まさのぶ

所属
情報工学研究院
情報・通信工学研究系
プロフィール
1959
生まれ
2007
博士(情報工学)
九州工業大学
1984
九州大学大学院
工学研究科修士課程
情報工学専攻修了

今日私たちが直面しているエネルギー問題などの地球規模の課題を解決するには、人間の英知を集約し、そこから生まれた最善の手を打ち続けることが重要です。一方, 情報技術は、無味無臭、無色透明で、それを用いる目的や手法により、人や組織、社会にとって毒にも良薬にもなり得ます。そこで、 様々な領域の専門家の知識を情報技術と組み合わせ、 問題解決を図るための研究が必要と考え、学生時代からの恩師である長沢勲先生との出会いもあり、この分野の研究に着手しました。

より詳しい研究者情報へ

知識の体系化による高度情報サービスの実現

● 研究テーマ

  • ❖知識ベースシステムの研究・開発

● 分野

1002 ソフトウェア

● キーワード

知識処理、知識モデリング、知識表現

● 実施中の研究概要

機械設計者や医師、薬剤師などの専門家が持つ高度な専門知識を整理してコンピューターで取扱える形に表現すると、私たちの生活に様々な恩恵が得られます。たとえば、機械設計の専門家が持っている設計知識をコンピューターに組入れると、膨大な組み合わせの中から最適な設計解を自動的に求めることが可能となり、高品質の製品を低コストで実現できます。また、医学や薬学の専門知識を病院情報システムに組み入れると、患者の病状に合った最適な治療計画を提案したり、薬の飲み合わせや薬量などをチェックすることで、安全で効果的な医療を実現できます。さらに、時間の経過とともに失われる恐れのある貴重な専門知識を発展的に継承することも可能になります。
このような高度な情報処理の実現には、複雑で専門性が要求される知識を体系的に整理し、日常の維持管理や技術革新に伴う機能拡張を容易な形式で表現した上で、高速に推論処理する必要があります。このための技術が知識ベース技術であり、次の三つの技術から成ります。
1.モデル化技術
知識ベースの開発は、医師や薬剤師のような専門家が、自ら業務知識を分析、整理し、記述することが望ましいのですが、C言語などの汎用プログラミング言語を使いこなすのは容易ではありません。このため、業務知識を専門家が自ら記述できるように、知識の構造や問題の性質に則した表現モデルや記述言語を開発しています。
2.カーネル技術
カーネル技術は、データベースやインターネットのような、モデル化技術層と後述する分析・統合技術層とで必要とされる知識処理のための基盤技術であり、使いやすい開発支援環境と実務に耐えられる運用支援環境を開発しています。
3.分析・統合技術
モデル化技術とカーネル技術に基づいて、様々な分野を対象とした知識ベースシステムを研究開発しています。これらの研究成果の中から設計計算支援システムや臨床判断支援システム等が産学連携の一貫として九州工業大学発のベンチャーを通じて実用化に至っています。

● 今後進めたい研究

日本のソフトウェア産業は、ゲーム業界のような例外を除けば、国の基幹産業と呼べるだけの礎を築くには至っていません。現在、産業構造がサービス産業に比重を移しつつある中で、日本の経済的繁栄と国民生活の向上を持続し、発展させるには、国際競争力のある情報システム構築技術を生み出し、高い付加価値を創出できる産業へと、脱皮させる必要があります。そこで、この知識ベース技術を発展させることにより、設計や医療、金融、通信といった様々な領域の問題解決に貢献したいと考えています。

● 知的財産権(技術シーズ)

▶US6768928B1,「MECHANISM COMPONENT DESIGN SUPPORT SYSTEM」
▶特許3365991,「機構部品設計支援システム」
▶特開2001-331317,「知識ベースの運用・保守方法及びシステム」

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

国内の民生機器メーカやプラント機器メーカ、造船所等の共同研究多数
研究室で開発した健康管理支援システム、設計計算支援システム、知識処理サーバなどを大学発ベンチャー企業を通して実用化し、高等専門学校、大学、企業などで利用されている。