イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

教授

前田 衣織

まえだ いおり

所属
情報工学研究院
物理情報工学研究系
プロフィール
1967
生まれ
1996
博士(理学)
九州大学
1996
九州大学大学院
理学研究科博士課程
化学専攻修了
1992
九州大学大学院
理学研究科修士課程
化学専攻修了

私は、ポスドク時代までは生理活性ペプチドの合成研究を行っていました。
エラスチンは、現在の研究室に赴任してから、教授の岡元先生のテーマとして、一緒にやってきました。
エラスチンは、一般的な他のタンパク質と異なる点が多く、研究課題としても、その対象が医学や食品分野、化粧品への応用など多岐に渡っているので、やりがいのあるテーマです。

世界の美女は私がつくる

● 研究テーマ

  • ❖エラスチンタンパク質を利用した生体材料の開発

● 分野

医用生体工学
生体材料学

● キーワード

エラスチン、ドラッグデリバリーシステム、生体材料

● 実施中の研究概要

 エラスチンは、コラーゲンとともに体を構成する大切なタンパク質で、血管や肺、皮膚などの弾力性を維持しています。近頃では、肌の弾力性を高めハリのある状態に保つことを目的として、化粧品や健康食品などにエラスチンが配合されるようになりました。タンパク質は、低分子量のペプチドもしくはアミノ酸へと分解された状態で体内に吸収されます。エラスチンはタンパク質ですので、化粧品や食品に含まれているエラスチンがそのまま吸収されるとは考えられません。私たちが摂取したエラスチンは、分解されて小さいサイズになった後体内に吸収されます。エラスチンがアミノ酸にまで分解されると、他のタンパク質由来のアミノ酸と区別することはできませんので、分解されたエラスチン由来ペプチドが効果を発揮するのではないかと考えられています。
 エラスチンは組織に弾力性を持たせるだけでなく、体を構成する様々な細胞を活性化する役割を担っています。血管においては、その一例として動脈硬化の予防に関わっているのではないかと期待されています。
 我々は、エラスチンの持つ多様な機能を利用して、新しい生体機能材料(バイオマテリアル)の設計、作製を行っています。そして、それらの材料を人工血管の素材や薬物徐放システム用担体などへ応用することを試みています。

● 今後進めたい研究

【動物由来水溶性エラスチンを利用した健康食品の開発】
 ブタの大動脈組織からアルカリ製法により水溶性エラスチンを抽出し、健康食品の素材として利用しています。様々な生理活性を調べて、有効な成分を高純度に抽出することで、さらに高品質の水溶性エラスチンを得る製造方法を検討しています。
【エラスチン由来ペプチドを利用した医用生体材料の開発】
 薬は、体の患部に達してから効果を発揮してほしいのは当然ですが、そのようになるための仕掛けが必要です。我々は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)とよばれる精密な仕掛けを、エラスチン由来ペプチドを母体として開発しています。

● 特徴ある実験機器、設備

温度可変型UV装置

● 知的財産権(技術シーズ)

『水溶性エラスチンとその製造方法及びそれを含む食品と医薬』特許第4078431号、岡元孝二、山田宏、前田衣織(九州工業大学)

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

▶大阪府立大学 理学部 古田 雅一(准教授)
▶星薬科大学 薬学部 臨床化学教室 輪千 浩史(准教授)
▶福岡大学 医学部 坂田 則行(教授)

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

❖ より詳しい研究者データ

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/279_ja.html