イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

准教授

高林 正典

たかばやし まさのり

所属
情報工学研究院
物理情報工学研究系
プロフィール
1985 生まれ
2009 北海道大学
    大学院情報科学研究科
    情報エレクトロニクス専攻
    修士課程 修了
2012 北海道大学
    大学院情報科学研究科
    情報エレクトロニクス専攻
    博士後期課程 修了
2012 博士(情報科学) 北海道大学大学院

身のまわりにあふれている光が「モノを照らす」以外に非常に多くの可能性を秘めていることを知り、光工学の研究に興味を持ちました。最近は光の「普通では見えない性質」を観測する技術を使って様々な対象からこれまで得られなかった新たな情報を抽出することに楽しみを感じています。

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「光のカタチ」を利用する

● 研究テーマ

❖ホログラフィックメモリの研究
❖定量位相イメージングの研究

● 分野

光工学・光量子科学、電子デバイス・電子機器

● キーワード

ホログラフィ、定量位相イメージング

● 実施中の研究概要

❖ホログラフィックメモリの研究
大容量光メモリ「ホログラフィックメモリ」に関する研究を行っています。ホログラフィやホログラムと聞くと映画スターウォーズの中に登場する立体映像を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、ホログラムと一口に言っても様々な種類があります。その一つである「ボリュームホログラム」の性質を使うとわずかなスペースにとてつもない量の情報を記録することができます。 例えば、腕時計の文字版ぐらいの大きさがあれば約100~200時間分の4K動画を保存しておくことができます。私たちは、大きく分けて「記録容量の増加を目指す研究」と「光学系の簡易化を目指す研究」の2つの柱を立てて研究を行っています。

❖定量位相イメージングの研究
光波の強さではなくカタチを計測できる定量位相イメージングに関する研究を行っています。定量位相イメージングを使うとこれまで見えなかったものを見ることができるようになります。例えば透明な細胞や組織の構造です。 がんの検査をするときに細胞や組織を顕微鏡で観察することがあるのですが(細胞診・組織診)、 定量位相イメージングができる顕微鏡で細胞や組織の観察を行うとこれまでの顕微鏡では到底見ることのできなかった構造の変化を染色などの前処理なしに抽出することができるようになります。 これはがんの早期発見や診断エラーの低減につながるので、がんが原因で死亡する人を今よりもぐっと減らせるかもしれません。 さらに、こうしたラベルフリーディジタル病理診断というシステムが普及すれば、遠隔の診断がスピーディーに行えるようになるので、 医療の地域格差を是正することにもつながると期待されています。

● 今後進めたい研究

まずは定量位相イメージングの応用拡大を目指します。現在はがんの診断に特化していますが、他の病気の診断や産業分野における製品検査などへの応用も行っていきたいと考えています。また、新しいイメージング技術である定量位相イメージングを情報や統計などの他の学問領域と結び付け、新たな知見が得られるようなイメージングシステムの構築も目指していきたいと考えています。

● 知的財産権(技術シーズ)

岡本淳,高林正典:ホログラム記録方法,ホログラム再生方法および光位相強度変換方法,特願2011-154192.
岡本淳,瑞慶覧圭佑,高林正典,渋川敦史:ホログラフィックメモリの記録方法および再生方法ならびにホログラフィックメモリの記録装置および再生装置,特願2011-152685.
岡本淳,九里佳祐,高林正典:ホログラフィックメモリ再生装置およびホログラフィックメモリの再生方法,特願2010-234640.

● 過去の業績(論文等)

【論文】Masanori Takabayashi, Hassaan Majeed, Andre Kajdacsy-Balla and Gabriel Popescu, "Disorder strength measured by quantitative phase imaging as intrinsic cancer marker in fixed tissue," PLOS ONE 13, e0194320 (2018).
【論文】高林正典, Hassaan Majeed, Andre Kajdacsy-Balla and Gabriel Popescu, "定量位相イメージングによって顕在化する組織内ナノ構造情報を用いた革新的ディジタル病理診断," OPTRONICS 37, 88-93 (2018).
【論文】Masanori Takabayashi and Atsushi Okamoto, "Self-referential holography and its applications to data storage and phase-to-intensity conversion," Optics Express 21, 3669-3681 (2013).

● 関連するホームページ

http://ba84.webcrow.jp/