夾雑物の多いサンプルでもごく微量の遊離ヘムを測れます
生化学、有機合成化学、分子生物学、X線結晶構造解析をはじめとした各種分光学的解析
タンパク質、酵素、ペプチド、ヘム、構造活性相関、触媒機構
タンパクの中で働いていたヘムは、単独である時は活性酸素を作り出す元凶であると考えられていましたが、最近では、体の中で様々な調節機能を果たしていることが分ってきました。それで、ヘムの量を測る方法を探してきました。ヘムを特異的に結合するタンパクがヘムオキシゲナーゼ(HO)で、周りの電子や酸素が加わると分解がはじまりますが、それにヘムが入ると結合することができます。この性質を使えば、ヘムの存在・また量を測ることができる。それをどうやって測るか。HOに蛍光物質をつけておいて、ヘムを加えると蛍光剤の発光をヘムが吸収してしまいます。つまり、発光していたHOがヘムを加えることで発光しなくなることを利用して、ヘムの量を測定できることがわかりました。今、大腸がんの検査は、便の中の便潜血反応を検査していますが、ヘモグロビンは壊れやすく、大腸がんの兆候を見逃しやすいといわれています。ヘムは安定していて、ヘムがあれば、その存在を確認するのは容易です。したがって、今後、大腸がんの検診は、ヘモグロビンではなく、ヘムを見つけるようにすれば、どんな小さな兆候も見逃さずに発見できるようになります。
ヘム代謝系を、複数の酵素が秩序正しく会合・解離するタンパク質間相互作用ネットワークのモデルとして捉え、その機構を解明することで、生命現象を司る複雑な代謝経路の理解と制御につなげたいと考えています。
この他にも、これまでの知見を基盤として、ペプチド合成技術を活用し、従来の遺伝子組み換え法では限界のあった新機能タンパク質の開発にも取り組んで行くつもりです。
生体色素の微量定量、産学連携、民間を含む他機関等との共同研究等(技術相談、受託研究、共同研究)を希望します。
分光光度計
簡易型嫌気性チャンバー
高速液体クロマトグラフィー
『金属プロトポルフィリン錯体の定量方法及びそれに用いる酵素センサー』特願2009-129822、坂本寛、古賀真也、小松英幸 、九州工業大学
▶『バイオセンサー素子マイクロペルオキシダーゼの化学合成法の開発』、独立行政法人科学技術振興機構、地域イノベーション創出総合支援事業、シーズ発掘試験、代表者、(2008-2009)
▶『人工センサー蛋白質を用いたヘム測定法の開発』、独立行政法人科学技術振興機構、地域イノベーション創出総合支援事業、シーズ発掘試験、代表者、(2006-2007)
▶『ヘムオキシゲナーゼの酵素化学的検討とヘム分解系マシーナリーへの展開』、日本学術振興会、科学研究費補助金、基盤研究C(1)、代表者、(2006-2009)