病気に関わるタンパク質の修飾(化学変化)を
調べています
機能生物化学、生体関連化学、生物分子科学、ケミカルバイオロジー
タンパク質、ペプチド、リン酸化、インスリンシグナル、ダメージ関連分子パターン
【1】II型糖尿病(NIDDM)は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンに対して鈍感になる(インスリン抵抗性)病気で、原因は完全に明らかにされていませんが、生活習慣や環境要因のほかに、複数の原因遺伝子が特定されはじめています。私は、近年NIDDMの原因遺伝子の一つと疑われているGrb14というタンパク質の研究を行っています。Grb14はインスリンの信号を細胞内でブロックしていることが実験的にわかってきていますが、細胞内に存在するGrb14はどのようにして細胞の外からのインスリンの刺激を感知し、応答しているのか、わかっていません。この点についての解明は、Grb14による信号伝達のブロックに、細胞内のどのような因子が関わっているかを知ることにつながり、NIDDM発症機構の解明に貢献すると期待されます。現在は図①に示す仮説の実証に向けた研究を行っています。
【2】ダメージ関連分子パターン(DAMPs)と呼ばれる、細胞内にもともと存在するタンパク質が炎症を引き起こすことが知られるようになってきています。DAMPsの代表的なものにHMGB1と呼ばれるタンパク質がありますが、感染防衛の最前線に立つマクロファージと呼ばれる細胞がこれを受け取ると、マクロファージ自身がHMGB1を放出して、炎症をさらに悪化させると考えられています。HMGB1はもともと細胞の核の中にありますが、現在、これがどうやって放出されるのかを調べています(図②)。
※図をクリックすると、大きく表示されます。
研究概要に書いたHMGB1の受容体は複数存在し、まだ完全にすべてが特定されたわけではなさそうです。このような受容体のわかっていないものに対して、受容体を特定するための新規な方法を開発したいと思っています。
特願2014-040941 抗腫瘍活性を有するチロシン誘導体
上田敏久, 宗 伸明, 光冨 勝, 関 清彦, 平 順一
【共同研究】
①「カベオリンにより調節を受けるタンパク質の同定(2009年)」
「クオラムセンシング誘導物質の構造活性相関研究(2013年)」久留米大学医学部
③「アミノ酸誘導体の抗腫瘍活性の検討(2012年)」佐賀大学農学部
④「ペプチドデホルミラーゼをターゲットとした新規抗菌剤の開発(2011年)」佐賀大学理工学部