イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

准教授

北田 栄

きただ さかえ

所属
情報工学研究院
生命化学情報工学研究系
プロフィール
1997 博士(理学) (九州大学)
1996 同上博士後期課程単位取得退学 
1993 九州大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了

大学大学院生のころはまだバブルで、面接に行けば就職できるような頃でしたが、自分には研究の面白さや発見することなど、研究室の生活が楽しく、まったく就職活動をしないまま、ズルズルと博士後期課程に進学、ますます研究が面白くなりました。そのまま研究室の助手になれたのは、本当にタイミングです。恩師の影響も大きかったと思います。

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微生物Bt菌が創り出す新たな医療・環境バイオ技術 Bt菌タンパク質から抗がん治療薬をつくる

● 研究テーマ

  • 微生物毒素を利用した新しい抗がん研究
  • 病原寄生虫トリパのソーマを標的とした新しい生理活性物質の探索
  • Bt菌の分離、ライブラリー化とその遺伝子・タンパク質情報の解析

● 分野

構造生物学、機能生物学、応用微生物学

● キーワード

Bt菌、毒素、パラスポリン、がん

● 実施中の研究概要

人間が「毒素」という時は、人間と家畜に害を及ぼす場合です。しかし、自然界では「毒素」はあるものに対して有害であり、あるものに対しては無害といった明確な特異性があります。微生物バシラス・チューリンジェンシス(Bacillus thuringiensis 〔通称:Bt菌)は、細胞内に様々な凝集性タンパク質を蓄積します。一部の菌株では、強い殺虫性毒素を生産し、人畜に無害であるため生物農薬として利用されています。さらに、殺虫性タンパク質遺伝子をトウモロコシなどに導入した組み換え作物の栽培が海外で進んでいます。
一方、多くのBt菌株では機能未知なタンパク質が細胞内で生産されます。このようなタンパク質のなかから、ヒトがん細胞に特異的な毒性作用を示すパラスポリンが発見されました。
 私たちの研究室では、パラスポリン2について基礎から応用を目指した抗がん研究を行っています。パラスポリン2は、ヒト肝がん・大腸がんなど特定のがん細胞に選択的な細胞死を引き起こしますが、正常細胞にはあまり影響を与えません。また、研究の過程でこのパラスポリン2がトリパノソーマ(熱帯地域で蔓延している病原寄生虫)に対して興味深い作用を示すこともわかってきました。

● 今後進めたい研究

微生物毒素の作用解明と医学への応用。
昆虫の約7割が感染しその生活環を左右している細胞内寄生細菌ボルバキアの作用と生物学的防御への利用
寄生細菌からミトコンドリアへの細胞内共生進化の謎と立証

● 特徴ある実験機器、設備

動物飼育用のクリーンラック、細胞組織の調製や解析装置。

● 研究室ホームページ