微生物Bt菌が創り出す新たな医療・環境バイオ技術 Bt菌タンパク質から抗がん治療薬をつくる
構造生物学、機能生物学、応用微生物学
Bt菌、毒素、パラスポリン、がん
人間が「毒素」という時は、人間と家畜に害を及ぼす場合です。しかし、自然界では「毒素」はあるものに対して有害であり、あるものに対しては無害といった明確な特異性があります。微生物バシラス・チューリンジェンシス(Bacillus thuringiensis 〔通称:Bt菌)は、細胞内に様々な凝集性タンパク質を蓄積します。一部の菌株では、強い殺虫性毒素を生産し、人畜に無害であるため生物農薬として利用されています。さらに、殺虫性タンパク質遺伝子をトウモロコシなどに導入した組み換え作物の栽培が海外で進んでいます。
一方、多くのBt菌株では機能未知なタンパク質が細胞内で生産されます。このようなタンパク質のなかから、ヒトがん細胞に特異的な毒性作用を示すパラスポリンが発見されました。
私たちの研究室では、パラスポリン2について基礎から応用を目指した抗がん研究を行っています。パラスポリン2は、ヒト肝がん・大腸がんなど特定のがん細胞に選択的な細胞死を引き起こしますが、正常細胞にはあまり影響を与えません。また、研究の過程でこのパラスポリン2がトリパノソーマ(熱帯地域で蔓延している病原寄生虫)に対して興味深い作用を示すこともわかってきました。
微生物毒素の作用解明と医学への応用。
昆虫の約7割が感染しその生活環を左右している細胞内寄生細菌ボルバキアの作用と生物学的防御への利用
寄生細菌からミトコンドリアへの細胞内共生進化の謎と立証
動物飼育用のクリーンラック、細胞組織の調製や解析装置。