教授
かとう れいこ
大学院で出会ったインド人の先生が、当時自分が理解していた世界・社会がいかに一面的であるかに気づかせてくれました。私たちが生きる社会には不平等・不公平なこともたくさんあり、それは子供たちの「自己責任」ではないことも。その気づきから、教育を通して社会の公平性や平等性を考える多文化教育に興味をもちました。
異文化体験は自分を豊かにする
多文化教育、異文化間教育、教育社会学
異文化間コンピテンシー 言語とアイデンティティ テレコラボレーション
グローバル人材育成が注目されるようになり、日本でも「異文化理解」や「異文化間能力」という力が大きく着目されていますが、「異文化間能力(コンピテンシー)」は、読み書きや計算よりも曖昧です。一体、何を知っていれば、何ができれば、どういう態度があれば「異文化間コンピテンシー」が備わったと言えるのでしょうか。「外国人とコミュニケーションがとれる」?「外国で働く」?どれも曖昧です。ただ漠然と、身につけることが奨励されている「異文化間コンピテンシー」を、学生と教師の目線から理解する研究を行っています。
従来「郷に入っては郷に従え」「正しい日本語を話そう」という考えがありますが、これは「郷(文化)」や「ことば(言語)」を固定的に捉えがち、文化・言語の流動性を過少評価しがちであると考えます。特に、「異文化間教育」と聞いて連想されがちな「日本の文化」と「外国の文化」という対比は、個々のうちにある多様性をないがしろにしていることもあるのではないでしょうか。また文化やことばを固定的に捉える考え方は、「正しい」「間違っている」という概念を引き起こし、時には不平等や差別にもつながります。
文化・ことばを流動的に捉えた「異文化間コンピテンシー」とは、どのような力であると理解されているのか、どのような場面で育まれているのか、異文化間コンピンシーと個人の成長がどのように関連しているのか、このような疑問を明らかにすることで、「異文化間コンピテンシー」そのものの理解を深めようと研究をしています。
学校教育で育んだ異文化間コンピテンシーが、どのように社会に還元されているのか、今後は、学びの場面を地域社会にも広げ、「異文化間コンピテンシー」と「社会参画」についても研究をしていきたいです。