イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

講師

TILEY William

タイリ ウィリアム

所属
情報工学研究院
教養教育院
プロフィール
2012
ブリストル大学、イギリス
土木工学 修士取得

私が研究テーマを見つけたのは、まったくの偶然でした。ある授業で、学生にバンクシーの作品について話し合ってもらったところ、出てきた意見やアイデアの多様さに驚かされました。アートには、「正解・不正解」にとらわれずに自分の考えを自由に表現できる力があります。そのおかげで、学生一人ひとりが対等に、自分の視点を共有することができました。このような体験から、教室にとても前向きな雰囲気が生まれ、「もっと深く探究してみたい」と強く感じるようになりました。

アートは学生に英語での自由な自己表現と創造的に世界を学ぶ機会を与える

● 研究テーマ

  • ❖ アイデンティティを表現する手段としてのアート
  • ❖ 異文化教育の機会としてのアート
  • ❖ ユニークで魅力的な授業活動としてのアート

● 分野

英語学、言語学

● キーワード

アートを活用した言語教育、教育へのアートの統合、英語言語教育 

● 実施中の研究概要

言語教育の一環としてのアートに関する既存の研究は非常に限られているため、今後探求すべき多くの可能性があると考えています。この分野における私の研究は、大きく「アート制作」「アートディスカッション」「アーツ統合」という三つのカテゴリに分けることができます。

❖ アート制作

言語教育におけるアート制作は、独創的かつクリエイティブなアプローチであり、多くの利点と恩恵をもたらすように見受けられます。アート制作を通じて、学生は自分自身のアイデンティティ、価値観、そして周囲の世界に対する思いを表現する機会を得るとともに、他者と交流し意見を交わすことができます。これは、言語使用の根本的な側面とも合致しており、アート制作が言語教育の目的に十分に寄与していることを示唆しています。また、内容に基づく言語授業においては、アート制作は学生が学んだ内容を自らの理解に基づいて表現する貴重な手段となります。たとえば、試験では、学生が問題内容を理解していなかったのか、問題自体の意図が伝わらなかったのかを判断するのが難しい場合がありますが、アートは言語の枠にとらわれずに内容理解を示す方法として有効な解決策となり得ます。

❖ アートディスカッション

次に、アートについてのディスカッションも、言語の授業で大きな役割を果たすことができます。アートと関わることで、学生は批判的思考や問題解決能力を養い、また一緒に作品の意味を探るための協働作業を学ぶことができます。アートを鑑賞する際、私たちは個々の好みや経験、アイデンティティに基づいて自由に解釈することができ、そのため「正解」など存在せず、自分の考えの根拠を説明する必要があります。これにより、論理的思考や内省的なスキルが育まれます。さらに、アートはその制作された文化や環境を反映しているため、世界の多様な文化、歴史、政治に触れる学びの場ともなります。

❖ 実践的な統合

最後に、言語教育にアートを取り入れる実践的な面にも関心を持っています。アートを既存のカリキュラム目標に沿って授業に組み込む方法や、他の教科における学生の学習支援としてアートを活用する方法など、実際にどのようにアートを取り入れるかという問いは、アートを活用して言語スキルを育成するための基盤を築く上で極めて重要な要素です。

● 関連リンク先

❖ ORCID

❖ ResearchGate

❖ より詳しい研究者データ