教授
なかとう よしひさ
「声」でロボットと対話できたら・・・という夢は小さいころから何となくありました。しかし、実際そのことを意識したのは、大学の学部のときの先生(私の恩師)の講義の中で紹介されたデモを見たときです。SFの世界が本当に実現できたらいいなと大きな興味を抱いたのが今の研究テーマを始めた「きっかけ」です。
音の技術で高齢者に福音を・・・
声による福祉支援システムを開発
音声情報処理、音響情報・制御
音声認識、音声合成、オーディオ符号化、高齢者音声の解析、聴覚処理、補聴器、福祉支援システム
研究者になる前は、企業で「音声」に関わる製品開発に携わってきました。例えば、音声認識カーナビ、音声認識テレビ、テレビ会議用のカメラ、補聴器など身近な家電・AV商品です。現在の研究室では、このような企業経験を生かして、人にとって自然な情報伝達手段である「音声」による家電やロボットの制御、高齢者や難聴者のための補聴システムなどの研究を行っています。例えば高齢者音声の研究では、高齢化とともに発声しずらく不明瞭な声になり聞き取りにくくなりますが、音声認識や音声合成の技術を用いることで明瞭にする方法を研究しています。また、がんなどで喉頭を摘出した人の声を取り戻し、声による意思疎通ができるような声の復元技術の研究も行っています。このように身近な「音」や「声」を扱う基本技術としての音声認識、音声合成、補聴処理の研究を行いながら、さらに高齢者や障がい者への支援システムへの応用展開を推進しています。
カーナビや携帯電話を音声で操作することは、すでに実際の商品として世の中に出てきています。しかし、人間同士の会話のように本当の意味での「言葉の理解」にはまだ至っていません。例えば、人の話す言葉の文字づらだけでなく、言葉に隠された感情や言葉の意味するところを「理解」できるような技術の研究をやってみたいと考えています。さらに人の声だけじゃなく、周囲にあるすべての「音」の意味を理解して、例えば高齢者などに周囲の状況(危険等)を知らせてくれるような技術を開発して社会貢献できたらと考えています。
防音室