教授
つぼい のぶゆき
名古屋大学航空工学専攻を修士課程で卒業後、三菱重工業㈱、東大機械工学専攻(博士課程)、宇宙科学研究所、JAXA宇宙科学研究所(ポスドク・助教授)と、企業や大学、独立行政法人と、いくつかの場所で研究に関わってきました。
ロケット・宇宙輸送機でみられる極限熱流体現象を明らかにする
航空宇宙工学、熱工学、流体工学
爆轟波(デトネーション)、固体・液体・ハイブリッドロケットエンジン、超音速燃焼、希薄流、将来宇宙輸送機、数値流体力学
将来型宇宙輸送機、たとえば次世代のロケットや宇宙往還機に関して、機体の形状を決めるためには空気力学により流れを予測する必要があります。風洞実験のみではコストも時間も要することから、スーパーコンピュータを利用して数値流体力学により低速から極超音速までの流れを予測し、将来型宇宙輸送機の形状設計に役立てることを行っています。また、JAXAとの共同研究により風洞を使用した実験も行っています。
ロケットエンジンには、国内ではSRBに代表される固体ロケット、LE-7Aに代表される液体ロケットエンジンがあります。また、取り扱いに容易でありかつ両者の利点を取り入れたハイブリッドロケットエンジンがあります。特に液体ロケットエンジンとハイブリッドロケットエンジンに関して、エンジン内部の燃焼現象を数値流体力学により明らかにしようとしています。また、液体ロケットエンジンについては、水素燃料およびメタン燃料について研究を行っており、地球環境を考慮した燃料を使用した燃焼の解析を行っています。
宇宙往還機が飛行する高度100km以上の低密度環境や、半導体の製造プロセスでみられる真空環境を模擬するための数値解析および真空装置を使った実験を行っています。特にどのような流れ場になっているか、また熱力学的な非平衡性がどのようになっているのか、について研究を行っています。
爆轟とは、デトネーションと呼ばれ、衝撃波と燃焼波が連成して燃料と酸化剤の予混合気中を超音速(約2000m/s)で自走する現象です。この現象は、自動車業界におけるエンジン内の異常燃焼とは異なります。また、その対照として、爆燃(デフラグレーション)と呼ばるものは、亜音速燃焼と呼ばれ、これは通常の火炎が強く爆発的に燃焼した場合に相当します。このような爆轟がどのようなメカニズムで伝播し、またどのような条件で発生するのかを数値解析と実験の両面から研究を行っています。これらは安全面から事前に予測することが重要です。また、爆轟を推進機関に応用したものは、パルスデトネーションエンジンと呼ばれ、爆轟をパルス的に発生させて推力を得るエンジンです。どのような条件やノズルの形状の時に、もっとも性能が出るかについて数値解析により研究を行っています。
基本的には、現在実施中の研究内容を継続して行っていきたいと考えています。特に、水素だけでなくメタンの燃焼を考慮した研究がこれから重要になるので、単に数値流体解析だけではなく、反応モデル、ミクロスケールの解析および実験的研究を進めていきたいと思います。
・計算結果処理用ワークステーション、大規模データ保存用RAID
・3次元圧縮性粘性流体解析コード、3次元燃焼解析コード、希薄気体解析コード
・低密度実験装置
・衝撃波管
『爆轟に関する研究』株式会社IHI
『固体・液体・ハイブリッドロケットエンジンにおける高圧燃焼流体に関する研究、風洞を利用した研究、極超音速輸送機に関する研究』宇宙航空研究開発機構(JAXA)
『極超音速流れにおける熱空気力学の研究、高圧・極低温流体における熱物性の研究』東北大学
『爆轟に関する研究』青山学院大学
『希薄気体流れに関する研究、高圧・極低温・燃焼流体における流動構造の研究』東京大学
『圧縮性低速流れの数値解析に関する研究』室蘭工業大学