イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

准教授

河部 徹

かわべ とおる

所属
工学研究院
機械知能工学研究系
プロフィール
1961
生まれ
1995
博士(工学)
九州工業大学
1986
名古屋大学大学院工学研究科博士課程前期課程金属工学及び鉄鋼工学専攻大学院修了

大学時代、好きだったコンピュータ関係の研究ができればと思い、選んだ研究室が塑性加工研。そこでシミュレーションや計測をコンピュータを使って研究を行っていたことから、現在も同じ研究を続けています。

厳しい冷間加工は、有限要素解析で克服可能!

● 研究テーマ

  • ❖有限要素法を活用して、冷間加工の限界に挑む研究

● 分野

材料加工・処理
金属加工
機械工作・生産工学

● キーワード

鍛造、冷間加工、塑性加工、有限要素解析、延性破壊

● 実施中の研究概要

❖ 冷間鍛造時の延性破壊条件

冷間鍛造では、加工速度の上昇によって材料内の温度が上昇するため、加工熱の影響は無視できません。そのため、数値シミュレーションで使用する物性値は、温度を考慮したものが必要になります。最近では温度上昇を考慮した変形抵抗(Fig.1、 Fig.2)のデータベースがかなり充実しています。しかし、延性破壊に関しては、温度の影響について論じた研究はほとんどなく、提案されているモデル式は、変形抵抗の温度依存性をそのまま使用しているのがほとんどという現状です。Fig.3は、材料温度と加工速度を変えて限界圧縮率を調べたものです。従来の方法を使った予測曲線(図中の直線および破線)では、青熱脆性を表現できていないことがわかり、延性破壊の温度依存性について調べ、現在使用されている破壊条件式がどの程度温度変化に適応可能かを調査し、実用的な温度依存性をもった延性破壊条件式を提案しています。

❖ 電磁鋼板打ち抜き時の寸法変化に関する研究

モーターの回転子と固定子の間の隙間(エアギャップ)は、狭ければ狭いほど磁束密度が大きくなり性能が上がることが知られています。したがって、高速回転や長時間運転によって熱膨張による変化を考慮して、電磁鋼板の打抜きによって製作されるモーターコア(鉄心)には高い寸法精度が要求されています。モーターコアの打抜き加工では、金型内の拘束条件や材料異方性などの力学的、材料学的要因により、工具真円に対して製品が楕円化する傾向があることが問題となっています。この研究はそれらの原因および対策を検討するものです。

● 今後進めたい研究

冷間加工の解析を継続的に研究し、不足している種々の材料定数の確立を図ります。

● 特徴ある実験機器、設備

市販のメーカ製試験機を主体にして、適宜手づくりの機器を製作しています。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

金属加工企業との間で日常的に産学連携を行っています。主な手法として、有限要素法を利用して、新たなる加工条件への検討を行い、その都度テスト装置を製作することなく加工の可否を予測しています。このことでハード製作費の節減に貢献しています。
【2009年度産学連携テーマ】
▶難加工金属材料(Mg合金など)の冷間塑性加工技術開発と、そのための物性データベース構築
▶自動車部材向けアルミニウム合金高速恒温鍛造技術の開発

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

http://www.mech.kyutech.ac.jp/pla.html

❖ より詳しい研究者情報

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/22_ja.html