イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

助教

西川 宏志

にしかわ ひろし

所属
工学研究院
機械知能工学研究系
プロフィール
1961
生まれ
1988
九州工業大学大学院
工学研究科修士課程機械工学第二専攻修了

弾性流体潤滑に関しては、研究室の重要なテーマであったものを、さらに発展させています。サスペンションについては、二輪レース参加の経験を活かして、潤滑下での、摩擦や、シールに関する、知見を適用できる分野として取り組んでいます。

受賞
1999
英国機械学会最優秀論文賞
1999
日本トライボロジー学会奨励賞

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摩擦、摩耗の正体を解明し、コントロールする

● 研究テーマ

  • ❖潤滑機構の解明によって、機械要素の性能、寿命の向上を目指す

● 分野

設計工学、機械機能要素、トライボロジー、流体工学、機械材料・材料力学

● キーワード

トライボロジー、摩擦、弾性流体潤滑、シール、油膜

● 実施中の研究概要

摩擦や、摩耗は、私たちの日常の中に、多く存在しています。摩耗がなければ、洗顔や食事もできません。私たちは、摩擦・摩耗が存在するおかげで、生活できています。ただ、摩擦・摩耗の本質の解明は、非常に難しい上に、奥が深く、摩擦は、エネルギーの消費、摩耗は、資源の消費に関係するため、環境問題にも、直接関係してきます。機械要素の機能・性能・信頼性・寿命、などの、向上を図るべく、トライボ要素の、潤滑機構、ならびに、表面損傷機構の解明に立脚して、新しい設計指針・概念、および新材料を、提案・確立するための、研究を行っています。

【現在の研究テーマ】

❖ 弾性流体潤滑理論 (EHL= Elasto-Hydrodynamic Lubrication理論))

EHL 下における、潤滑膜の形成状態と、諸因子の関係を、光干渉法を用いた、直接観察、赤外線による接触域内の油膜、および表面温度分布計測に基づき検討し、熱弾性流体潤滑理論の構築を、模索中です。

❖ 表面損傷

転動接触疲労や、電食などの、発生機構の解明、ならびに、それらの発生防止を目的とした、潤滑方法・耐損傷材料の開発のための、新概念の確立を図っています。

❖ サスペンションシステムの開発

車両のサスペンションについて、その作動特性を把握し、性能向上の指針を明らかにします。 オイルシールや、ピストンなど、各部の摩擦、ダンパーバルブの特性に着目し、ダンパユニット、二輪車フロントフォーク、二輪車フロントリンクサスペンションなどを研究対象としています。

● 今後進めたい研究

【高性能ショックアブソーバの開発】
自動車、二輪車などの、車両に使用されている、ショックアブソーバは、乗り心地をはじめとする、車両の性能に大きく影響しますが、現在は内部の摩擦が大きく、また、ダンピング特性が、制限されています。これらを、改善することで、ショックアブソーバを、高性能化しようとしています。

● 特徴ある実験機器、設備

1 弾性流体潤滑下での油膜厚さ、トラクション特性を研究するための実験装置(複数台、膜厚分解能1nm、接触面圧4GPa、速度17m/s)
② 高速ビデオカメラ (16万コマ/s)
③ 赤外線カメラ (最大分解能 3.5μm)
④ ショックアブソーバ (ダンパ) 試験機

● 知的財産権(技術シーズ)

『咀嚼(そしゃく)回数検出装置』 特許 3619835 号
『往復運動用密封装置』 特許 4332666 号
『油膜絶縁破壊評価装置』 特開 2008- 241383

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【研究】
『往復運動シールの特性に関する研究』
【共同研究】
『高粘度潤滑油の油膜形成状態に関する研究』 (2008)
【その他】
① 『高性能ショックアブソーバの開発』FAIS シーズ探索助成金 (2009)
② 『弾性流体潤滑下における油膜挙動』科学研究費補助金 (1988-)

● 研究室ホームページ