助教
たにがわ ひろふみ
種々の工業プロセスで現れる熱流動を可視化観察した際、その自然現象が生み出す流動パターンの美しさに魅了されたのが、現在の研究に取り組むきっかけになりました。以来、これら熱や物質の流動パターンを積極的に制御することで、各種工業プロセスの最適化を図る研究を行っています。
水分の最適制御で高性能燃料電池
熱工学
自然対流、多孔質、対流制御、感温スクリーン、燃料電池、木質バイオマス、ビニールハウス
燃料電池では、燃料電池の電極反応で生じた水が排出されず水詰まりを起こし、酸化ガスが流れなくなり発電出力が低下する現象と、“高分子”の膜の水分がなくなること(乾燥)で出力が低下する現象が発生します。これらの現象発生時の水分の挙動と発電性能との関係を明らかにし、それらの発生を抑制する固体高分子形燃料電池構造体開発のための実験と数値解析を行っています。
食品や紙など含水多孔質体内部の乾燥時における水分挙動を数値解析と実験の両面から検討しています.
CO2排出の削減、林業分野の再生を目指すため、ビニールハウス暖房の燃料を重油から木質バイオマスへの転換を推進するための実証実験を行っています。
降雪時においてビニールハウス暖房時の熱でハウス上の積雪が勝手に雪下しされるビニールハウス構造体に関する研究を行っています。
温度変化に応じて通気性(流動抵抗)が自動的に変化する感温スクリーンと、グラスウールなどの従来の透過性がある断熱材を組み合わせた新たな断熱構造体として『インテリジェント断熱材』を開発しました。この感温スクリーンの通気性(流動抵抗)の変化温度、設置位置などが、断熱層内部に生じる熱対流のパターン変化さらには断熱性能とどのように関連するかを数値解析により検討を行いました。
※図はクリックで拡大表示できます。
①調湿効果を持つセパレータリブによる燃料電池内水分のアクティブコントロール
前述したフラッディング・プラッギング現象とドライアウト現象の発生を、ガス流路を構成するリブに調湿特性を持たせることで抑えることができ、長時間の高出力発電が可能となる固体高分子形燃料電池の構造開発を実験と数値解析の両面から行います。これは、『固体高分子形燃料電池』,特許第5234461号、『固体高分子形燃料電池』,特開 2015-232999の実用化を目指した研究です。
②木質バイオマスによるビニールハウス最適暖房に関する研究
CO2排出の削減,林業の再生のため農業分野に木質バイオマスの利用を推進するための研究で、木質バイオマスを燃料としたビニールハウス暖房時のハウス内温度分布特性や温水器特性、メンテナンス性等を実証実験で明らかにします。
③積雪による倒壊を防ぐビニールハウスの開発
『ビニールハウス』(特開 2016-82906)の暖房機構が積雪時にハウス上の雪を勝手に降雪する効果を持つことがわかった。今後、より効果的に降雪可能なビニールハウス構造体を実現る研究を行う。
④空調(温度・湿度コントロール)を行う壁構造体に関する研究
従来のエアコンを使用せずに、部屋を仕切る“壁構造体”に温度・湿度コントロールの機能を持たせ省エネ空調を実現するための研究です。
①燃料電池評価システム
燃料電池の発電実験で、発電負荷や燃料ガス流量などのコントロールおよび出力などの計測ができます。
②MRI装置
食品など物体内部の水分を計測し、その分布を画像表示できます。
③木質バイオマス温水器
木質バイオマスを燃料とした温水器です。
『断熱と伝熱を行なう壁構造体』,特許第4939694号
『固体高分子形燃料電池』,特許第5234461号
『固体高分子形燃料電池』,特開 2015-232999
『ビニールハウス』,特開 2016-82906
・日本学術振興会科学研究費補助金 若手研究B,環境温度変化に応じて構造と性能が自動的に変化するインテリジェント断熱材の開発,代表者,
・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発/次世代技術開発、サブリーダー
・日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究C、燃料電池内部の水分量を適正に動的コントロールできる可変ガス流路の開発、代表者
【特別共同研究】積雪時における給湯管ビニールハウス構造体の融雪ならびに暖房効果の検証,国立研究開発法人防災科学技術研究所 (2018)