教授
さいき いさお
橋は人類が創る最も大きな構造物の一つで,そのスケールと力学的に無駄のないデザインに魅了され興味を持ちました.また,直接行き来することができなかった2つの地点を橋によって結ぶことで,経済活動や文化的交流が促進されるという社会的役割にも魅力を感じました.このようなことから橋や構造物の研究に身をささげようと考えました.
応用力学・計算力学による橋梁などの構造物およびその設計の合理化
鋼構造 構造工学 維持管理工学
応用力学 計算力学 鋼構造 橋梁工学 構造力学
高精度な構造解析に基づく粘り強い構造とその設計法を開発しています。単なる強さだけでなく、壊れ方も考慮した設計が実現できれば、それに応じた点検の個所と頻度を適切に設定することができ、点検で不具合が見つかった際に修繕が必要かどうかを合理的に決めることができます。そうすることで社会基盤構造を作ってからその使命を終えるまでのライフサイクルコストを削減したいと考えています。(図1,図2)
橋梁などの構造物の解析には、梁理論が使われています.梁理論は非常に簡単で、部材が細長い場合は精度のよい評価が行えます。しかし,実際の部材は必ずしも細長いとは言えない場合もあり,そのような場合は有限要素法と呼ばれる数値解析手法が使われています。また,橋梁などの構造物に作用する力は移動する車なので不確定です.そのため,どこに力が作用した時に着目しているところが厳しい状態になるかを求めるために影響線というものが必要になります。この影響線は、梁理論に基づく解析に対しては簡単に求めることができますが、有限要素解析に対してはとても手間のかかる計算が必要でした。そこで、応用力学的な観点から、有限要素解析でも影響線を簡単に求めることができる方法を開発しています(図3)。これにより、計算効率の向上だけでなく、これまでの常識を覆す構造の開発を行うことができると考えています。
計算力学と融合した新しい構造解析理論を研究しています。マルチスケール法と呼ばれる複数のスケールを用いる方法を発展させ、計算力学と古典的構造解析を融合した新しい構造解析手法を開発しています。本研究は計算力学手法を用いつつ断面の特性を評価することから、設計との親和性が高く、かつ高精度な解析を低い計算コストで実現できます。この方法により、これまでにない新しい構造の創造を行いたいと考えています。 (図4,図5)
簡便で精度の良い構造解析理論の構築.
シンプルで強い構造形態の創造.
設計で使いやすい構造解析手法の開発.
特開2025-016269 応力影響線の算出方法及び鋼床版の疲労評価方法
【共同研究】「有限要素解析による床版取替時の既設鋼桁照査に関する研究」(2024)
【受託研究】「合理的な点検・診断の提案のための構造冗長性評価」(2024)
【共同研究】「地震により塑性化した鋼管杭基礎における鋼材の材料非線形特性および信頼性評価方法の調査研究」(2024)
【共同研究】「高耐久性鋼床版の疲労寿命評価の効率化に関する研究」(2022)
【共同研究】「穀物の保管・輸送における梱包形態に関する研究」(2019)
【共同研究】「鋼材防錆処理と鋼・コンクリートの付着特性に関する研究」(2012)
【論文】Fujimoto, R. Saiki, I., Study of the stabilization parameter in the virtual element method, Comp. Meths. Appl. Mech. Eng., Vol.428, 117106, 2024.
【論文】Saiki, I., Ooue, K., Terada, K. and Nakajima, A., Multi-scale modeling for planar lattice microstructures with structural elements, International Journal for Multiscale Computational Engineering, Vol.4, pp.429-443, 2006.
【論文】Saiki, I., Ikeda, K. and Murota, K., Flower patterns appearing on a honeycomb structure and their bifurcation mechanism, International Journal of Bifurcation and Chaos, Vol.15, pp.497-515, 2005.
【論文】Terada, K., Saiki, I., Matsui, K., Yamakawa, Y., Two-scale kinematics and linearization for simultaneous two-scale analysis of periodic heterogeneous solids at finite strain, Comp. Meths. Appl. Mech. Eng., Vol.192, pp.3531-3563, 2003.
【論文】Saiki, I., Terada, K., Ikeda, K. and Hori, M., Appropriate number of unit cells in a representative volume element for micro-structural bifurcation encountered in a multi-scale modeling, Comp. Meths. Appl. Mech. Eng., Vol.191, pp.2561-2585, 2002.
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