准教授
かわじり しゅんぞう
もし、土や地盤がなくなったら?私たちの生活に密接している道路・鉄道・建物などは、土や地盤によって支えられています。実は土や地盤は、空気や水と同じくらい私たちの日々の生活に必要なものです。しかし,最近の豪雨や地震によって,地盤の安全が脅かされています。私たちの生活基盤となる地盤の防災・減災技術の研究・開発にやりがいを感じ、日々学生たちと研究を進めています。
地域の気候・環境を考慮した地盤災害軽減と耐災性向上へのチャレンジ
地盤工学,防災工学
地盤工学,地盤防災工学,豪雨,地震,災害復旧,対策工法
1.近年、大規模かつ繰り返し発生する洪水によって堤防が決壊し、私たちが生活している土地が浸水する事例が多く発生しています。このような災害に対応するため、既存堤防だけでなく実物大の研究用堤防も用いて破堤の仕組み(メカニズム)を解明し、気候変動に強い強固な堤防作りを考えています。
2.津波が発生した場合に、周辺に避難する高いビルなどが無い場合には高速道路盛土へ避難することになっています。しかし、地震の揺れを受けた盛土がその後の津波に対しても抵抗力を発揮できるかは、実はよくわかっていません。この研究では、地震を与えた後に津波を作用させる模型実験によって、地震と津波の両方に強い盛土構造物について研究を進めています。
3.近年では、圧力センサやそのデータの計測用装置を比較的簡単に作製することができます。簡単に作製できると安価に大量生産ができるので,センサをたくさん地盤に設置することできます。多地点に設置したセンサからデータを得ることにより、豪雨や地震が来た場合に地盤の変化を素早くとらえ、早期に避難情報を出すことができます。本研究では「地盤の中はモニタリングして当たり前」な世の中を目指し、5GやLPWAなどの最新の通信規格を取り入れた観測システムの開発に挑戦しております。
今後は九州の気候や地盤の地域特性を考慮した地盤の防災・減災技術に資する研究を進めていきたいと考えております.
【共同研究】
「改良土の強度・変形特性に関する研究」(2014, 2015)
「河川の低水路および高水敷の地盤強度分布把握に対する表面波探査の適用」(2015)
「抗土圧構造物の洗掘被害ならびに対策工の調査研究」(2019)
「道東大規模畑作における適正リン酸施肥と収量向上実現に向けた施肥技術基盤の構築」(2020)
「地震で被災した札幌市内の道路における段差抑制対策の検討及び地下水位低下等の効果検証」(2021)
【受託研究】
「橋脚及び橋台の洗堀範囲および洗堀対策工の効果を把握するための洗堀実験作業」(2019)
「支笏火山灰で行う表面波探査試験の適用性についての研究」(2019)
「北海道東部の堤防における気候変動を考慮した設計降雨の考え方の提案」(2021, 2022)
・Kawajiri, S., Kawaguchi, T., Nakamura, D. and Yamashita, S.: Application of Critical Rainfall Curve to Rainfall and Snowmelt induced Embankment Slope Collapse, Geotechnical and Geological Engineering, Vol. 40, pp.3897-3912, 2022.
・Kawajiri, S., Onmayashiki, K., Watanabe, Y., Matsuda, T., Koyama, M., Miyamori, Y. and Kawaguchi, T.: Large-scale open-channel experiments on the collapse of abutment backfill owing to floods and proposed countermeasure, Journal of JSCE, Vol. 9, No. 1, pp. 125-137, 2021.
・川尻峻三,小笠原明信,川口貴之,佐々木将仁,須志田健,山下聡:平成30年北海道胆振東部地震で被災した宅地造成盛土の被災後のS波速度分布,土木学会論文集A1(構造・地震工学),Vol.76,No. 4,[特]地震工学論文集,pp. I_87-I_95,2020.