電池作用で鉄筋の腐食を止める
土木材料、施工、建設マネジメント
建設材料学
構造物の老朽化を防ぐためにコンクリート中の鉄筋の防食技術が必要とされています。本研究は鉄筋の腐食の原因であるコンクリート中に浸透した塩化物イオンを除去する電気化学的脱塩工法について、効果の研究を行っています。
電気化学的脱塩工法は、コンクリート中の鋼材とコンクリート表面に設置した仮設陽極材の間に直流電流を通電し、電気泳動(注1)によってコンクリート中の塩化物イオンをコンクリート外に抽出するものです。1A/m2の電流を約8週間通電するのが一般的ですが、この期間コンクリート中の鋼材は卑(陰極)に分極されているため腐食に対する抵抗性が大きくなっています。そこで、本研究では、脱塩期間中に卑に分極された効果が脱塩施工後にどのように発揮され、またどの程度持続するのかを調べ、脱塩工法の防食効果を検討するものです。
本研究の特徴は,脱塩を行った供試体と行っていない供試体とでマクロセル(電池作用)を形成し、脱塩の効果について、アノード(陽極)とカソード(陰極)反応に対する抵抗性(挙動)をそれぞれ独立して評価することです。
マクロセルを応用して鋼材の腐食を評価する場合、腐食の進行するアノードだけでなく対極となるカソード反応を把握する必要があります。そこで、今後は塩化物イオンがカソード反応に及ぼす影響を検討することを予定しています。
【共同研究 (独立行政法人土木研究所)】
塩害を受けたコンクリート構造物の脱塩工法 (2006)