イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

准教授

原田 健二

はらだ けんじ

所属
工学研究院
建設社会工学研究系
プロフィール
2017
博士(工学)
長岡技術科学大学大学院
2017
長岡技術科学大学
大学院工学研究科
材料工学専攻
博士後期課程修了
2014
長岡技術科学大学
大学院工学研究科
建設工学専攻
修士課程修了

コンクリート中の水が乾燥することで収縮します。この収縮量は数百μもあり、適切な対策をしないとひび割れが発生し、コンクリート構造物の美観や耐久性を低下させます。もし、コンクリート自体が乾燥しなければ、コンクリートの乾燥収縮という課題を解決できるのではないかと考えたのが研究のきっかけです。

高濃度な水溶液を用いて乾かないコンクリートの実現を目指す

● 研究テーマ

  • ❖ 高濃度水溶液を用いたコンクリート
  • ❖ コンクリート中の水分・塩分の移動

● 分野

土木材料

● キーワード

物質移動,練混ぜ水,高濃度水溶液

● 実施中の研究概要

コンクリートは、諸特性を経済的に改良・改善するために実環境に応じて適切な混和材料を複数併用することが一般的です。練混ぜ水に水道水ではなく高濃度な水溶液を用いるという一つの対策でコンクリートの諸特性を改良・改善できるか検討する研究を行っています。
高濃度水溶液を用いることでコンクリートの諸特性を改良・改善できる可能性がある根拠として、溶質が多量に存在する高濃度な水溶液は純水とは異なる性質になるということがあります。例えば、蒸気圧降下により溶媒である水が蒸発しにくくなる、凝固点降下により水溶液の凝固点が低くなる、粘性の変化により溶質が溶解しにくくなるなどがあります。そのため、コンクリートに用いる水を高濃度水溶液にすると、コンクリート中の水が蒸発しにくくなることで,コンクリートの乾燥収縮ひび割れを抑制できると考えられます。また、粘性の変化に伴い、水和時のセメントの溶解速度を小さくなり水和による発熱を緩やかにすることで温度ひび割れも抑制することができると考えられます。さらに、コンクリート中の水が凍結しにくくなることで、コンクリートの凍害を抑制できると考えられます。
この仮説を証明するために,現在は高濃度水溶液として塩化ナトリウム水溶液を用いたコンクリートの諸特性を明らかにするための実験を行っています。

● 今後進めたい研究

飽和濃度に近い高濃度塩化ナトリウム水溶液中であれば溶存酸素の減少により鋼材は腐食しにくくなるといわれています。この特徴を利用して、あえてコンクリート中に極限まで塩化物をいれることで鋼材腐食がしにくくなるということがありえるかを研究していきたいと考えています。

● 関連リンク先

❖ より詳しい研究者データ

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/100001888_ja.html