助教
いしづか なおと
学生のときに東日本大震災の復興支援に関わり、その成果や課題を今後に生かすために「研究」として残していくことが必要だと思ったことが研究者を目指したきっかけです。
そして、日々の生活の少しの不便をデザインで解決していくことがそれぞれの研究のきっかけです。
生活を豊かにする空間デザインの探求と実践
主に3つの分野の研究と実践を行っています。
1つ目は、団地や空き家の改修を契機とした日常生活の空間のデザインについての研究・実践です。実際に地域の団地や空き家をリノベーションしながら、快適なデザインの提案、そしてその提案が本当に快適なのかを検証しています。最近の事例としては、九州のUR団地で、「あんどん部屋」といわれる窓のないタイプの間取りの団地に関する調査、そういった間取りに対するリノベーションや、外壁デザインの一新に取り組みました。
2つ目は、過去の災害で移転した集落の調査です。今後、コンパクトシティ化の要請もあり増えていくであろう、防災による事前の集落移転の適切な方法を探っています。建築のデザインは、敷地の中で考えていれば良い時代ではなく、地域全体の再編や敷地の設定をデザインするところから考える必要が出てきていると思い、このテーマを扱っています。能登半島での復興など、災害復興においても使えるような教訓を見出して行きたいと考えています。
3つ目は、大学キャンパスの空間改善の研究・実践です。空間デザインは身近な空間での実践の積み重ねが非常に大切です。私自身や一緒に研究に取り組む学生たちが、もっとも長く時間を過ごす九工大のキャンパスを改善していく、というデザインの実践を大事にしています。大学内の建築の改修・新築のデザイン監修に加え、出来上がったあとに使う際にも様々な提案を行います。近年では、旧体育館を改修したコワーキングスペースGYMLABOの設計などに関わっています。そして、提案したデザインが実際にどう使われているかを研究として分析することで、より良いデザインを目指しています。また、九工大は地域の中で明専の森とよばれ公園的な役割をはたしていることもあり、大学の空間の地域への開放についても研究しています。
すでに、少し始めていますが、大学内の伐採樹木の再活用の研究を行っています。持続可能性がさけばれる中で、大学だけでなく都市に内在するさまざまな資源を、再活用・循環させていくことは重要な課題です。その中で、公園の樹木・街路樹などを資源化していくことに興味を持っています。その他にも、手入れの行き届かない山林や竹林、地域固有の材料などを活用した、その場所だからこそできる建築のつくり方について、研究を進めていきたいです。
【受託研究】①『住宅ストック活用の実践研究(住宅の店舗へのリノベーションの実践)』(2023~)
【実践】①UR沖台団地の改修に際した活用検討(住戸リノベーションコンペの実施と設計監修、外壁改修のデザイン検討監修)(2021~)
【論文】
①『石塚直登、徳田光弘:日本におけるハウスメーカーの総合カタログの構成と記述の特性,日本建築学会技術報告集,28 (70),pp. 1590-1595』(2022)
②『石塚直登:牡鹿半島における防災集団移転促進事業の造成計画案の変遷に関する報告,日本建築学会技術報告集,24(56),pp.329-332』(2018)
【作品】
①『(仮称)未来思考実践センター(基本計画・実施設計監修)』(2023~2024)
②『UR都市機構・沖台2丁目外壁修繕デザイン基本計画』(2021~2023)
③『九州工業大学イノベーション施設GYM LABO(建築基本設計およびデザイン監修,内装選定,一部家具・サインのデザイン・制作)』(2022)