イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

和泉 亮

いずみ あきら

所属
工学研究院
電気電子工学研究系
プロフィール
1965
生まれ
1996
博士(工学)
東京工業大学大学院
1996
東京工業大学大学院
大学院総合理工学研究科
電子システム専攻
博士課程修了
1993
東京工業大学大学院
大学院総合理工学研究科
電子システム専攻
修士課程修了

2002年に九州工業大学に裸同然で着任し、まず、薄膜堆積装置の製作に着手しました。
前任校で使用したシランガス(モノシランSiH4)は、高い爆発性を有しているため使えず、当初、薄膜堆積はあきらめました。しかし、その研究への強い願望から、幸運にも安全で低コストの代替材料を見つけ出し、薄膜堆積が行えるようになりました。本手法による薄膜は幅広い産業の用途に広がりつつあります。

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最先端半導体プロセス技術を産業へ!

● 研究テーマ

  • ❖有機液体原料を用いたシリコン炭窒化膜(SiCN)の形成
  • ❖加熱触媒体により生成した活性種による銅をはじめとした各種金属の表面洗浄

● 分野

SiN系薄膜(SiN、SiCN)の堆積
原子状水素によるフォトレジスト除去、Siのエッチング、金属酸化物の除去

● キーワード

SiCN膜、ULSi用諸膜、HWCVD (Cat-CVD)法、HMDS

● 実施中の研究概要

【HWCVD (Cat-CVD)法】
非爆発性の原料を用いた高耐食性透明絶縁膜の低温形成する技術であり、薄膜堆積方法として、半導体ナノテク堆積技術:Hot-Wire (HW)CVD法を用いて無機材料:シリコン炭窒化(SiCN)膜を各種基板上にコーティングします。
本手法の特徴は、①装置コストが安い ②大面積低温堆積が可 ③原料の使用効率が大きい、などであり、液晶ディスプレイ、太陽電池、集積回路用各種薄膜堆積に適用できる点にあります。
現在までに得られている成果は、小型HWCVD装置によりSiCN膜を堆積しており、本膜は高い透明性、高い絶縁膜性、高い硬度、高い化学薬品耐性を有していることを明らかにしています。

【新規の金属洗浄技術を提案】
上記の【HWCVD (Cat-CVD)法】と全く同一の装置を用い、原料のみをアンモニアもしくは、水素としています。装置内での接触分解反応で生成したアンモニアラジカルや水素ラジカルを用いることで金属酸化物の還元と金属上の炭素系汚染物の除去を室温程度の低温で行なうことが可能です。特に次世代の半導体露光装置であるEUV露光装置の洗浄、はんだバンプの洗浄、インクジェット銅配線の焼成処理への適用に有望です。

● 今後進めたい研究

様々な産業界へシリコン炭窒化膜を応用できるように研究開発していきたいと考えております。

● 特徴ある実験機器、設備

【同一のHW (Hot Wire) -CVD装置でできる研究】
①シリコン炭窒化薄膜のコーティング法 
シリコン炭窒化薄膜を様々な種類や形状の基板上に危険ガスを使用せずにコートできる。
本堆積法の特徴:非プラズマCVD、安全かつ低価格、低温かつ大面積堆積
②金属表面の新規クリーニング・改質法
室温で各種金属表面のクリーニングや窒化ができる。
本処理法の特徴:非プラズマ、低温かつ大面積処理、炭素系、酸化物系の汚れ除去

● 知的財産権(技術シーズ)

『薄膜形成方法』
特願 2004 - 167883 (2004) 和泉亮、小田晃士 日本

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【共同研究】
① 『Hot-Wire CVD法に関する共同研究』 (2005、2004)
② 『水素ラジカル輸送過程の研究』 (2005.1、2005.12)
③ 『産業用金属材料に施すSiCN膜(表面効果・親水性付加)の開発』 (2005)
④ 『産業用金属材料の表面改質に関する研究』 (2004)
⑤ 『金属微粒子焼成技術の開発』 (2004)

【受託研究】
① 『非爆発性原料を用いた高耐候性シリコン炭窒化膜の成膜技術の実用化研究』 (2005)

● 研究室ホームページ

HW(Hot Wire)-CVD装置

「非爆発性原料を用いたハードコーティング法」

「金属表面の新規クリーニング・改質法」