准教授
のばやし だいき
私が大学に進学した頃、一般の家庭にもインターネットが普及しはじめました。インターネット技術やコンピュータネットワークの勉強を進めるにつれて、これらの技術にはまだまだ解決するべき課題がたくさんある事を知りました。特に私たちユーザに近い無線通信のアクセス制御技術に興味を持ち、研究に取り組んできました。
持続可能な社会を支える新しい情報流通プラットフォームに関する研究
計算機システム、ネットワーク、通信・ネットワーク
情報ネットワーク、インターネット、無線LAN、センサーネットワーク、車両ネットワーク
現在のインターネット基盤を用いたIoT技術では、デバイスから生成されるデータは、インターネットを経由しネットワークの先に設置されたクラウド等において蓄積され活用されるケースが多くなっています。その中で、IoTデバイスから生成されるデータには、時間的・空間的にその発生位置に強く依存する物がある事に着目しました。私たちはこのようなデータを時空間データと定義しました。このような時空間データは、現在のインターネットのようなデータ収集・蓄積型の情報基盤ではなく、データが生成された地域、または特定の場所で維持・展開されることで、その場にいる人に新しい価値を提供できると考えています。この研究では、私たちの生活の中で身近にあり、かつ将来的に高い計算資源を有する車両に着目し、車両を情報を中継するためのハブ(InfoHub)として活用することで新しい情報流通基盤を構築することを目指しています。一例として、車両を用いてユーザに直接かつリアルタイムに時空間データを届けるための手段として情報滞留手法を提案し、ネットワークシミュレーションや実機実験を通してその有効性を検証しています(図1)。
インターネットを介して収集されたデータを集約・分析し、新しい情報や価値を生活空間上のユーザに提供することで、産業の活性化や地域社会の問題を解決可能なIoT (Internet of Things)/CPS (Cyber-Physical System) 技術が着目されています。IoT/CPSを実現するためには、実空間の様々な情報をセンサを用いて収集する必要がありますが、それに必要となる無線通信には様々な種類があります。この研究では、多数ある無線通信の中でも免許不要で利用できるIEEE802.11準拠無線LAN (Wi-Fi) や低消費電力で超長距離伝送が可能な LPWA に着目しています。
一例として、Mobility as a Service の一環として、タクシーやレンタカーなどの走行データを収集・分析できれば、地域の交通課題や観光課題解決ができると考え、Wi-FiとLPWA通信が可能な車載GPSロガーを作成し、走行車両からの受信機間の無線通信における性能を検証しつつ、課題抽出とその改善手法の提案を行っています。この実験では、実際の車両にGPSロガーを搭載することで走行車両データを収集すると共に、分析基盤も合わせて提案、構築し検証を行っています。
情報通信の分野は目まぐるしい勢いで進展しています。来たるBeyond 5Gや6Gの実現に向けて、情報ネットワークの分野において貢献できる最先端の研究に取り組む予定です。
「エリア配信システム、無線通信装置、および配信方法」 (共願)、特許第06756527号
【受託研究】
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)、「レンタカー走行データを活用した訪日外国人との共生エコシステムの研究開発」 (2019-2020)
http://www.net.ecs.kyutech.ac.jp/~nova/