准教授
やまわき あきら
ハードウェアとソフトウェアがあって初めて電子機器は動きます。ただ、ソフトウェアを変更(プログラミング)すれば,電子機器は様々に機能を変えながら、要望に沿った動作をします。プログラミングはOSなどの基盤ソフトから、エクセルのマクロ、webページの作成など、スペシャリストから一般の人までが行うまでになっています。きらびやかなソフトに対し、ハードは忘れ去られた存在になりつつあります。ただ、ものづくりの観点からは、電子機器の根幹をなすハードウェアは非常に重要です。そこで、ハードウェアにもソフトウェアと同じような柔軟性、つまり、目的に応じてぐにゃぐにゃと姿を変える能力を持たせ、誰もがハードウェア設計者になるような環境を構築したいと思い、本研究テーマに取り組みました。
誰でもデジアナ設計者
デジタルシステム、コンピュータアーキテクチャ、再構成可能ハードウェア
デジタル回路設計、組み込みシステム、システム LSI、 FPGA
デジタル家電など近年の電子産業の製品のほとんどに、システムオンチップ(SoC)と呼ばれるマイクロプロセッサを主体とするチップが組み込まれています。装置の小型化、低消費電力化、そして高性能化には欠かせない要素になっています。
SoCの開発の効率化の面では、デジタル回路においては再プログラミング(再構成)可能なチップが開発され、注目されていますが、アナログ回路においては、多くの制約があり真の実用化には至っていません。組み込み機器向けのSoCは、外界とのインターフェイスであるアナログ回路は不可欠であることから、デジタルとアナログの両方とも再構成可能なことが必要です。
そこで、デジタルおよびアナログの回路を様々な応用へ、柔軟に再構成できるSoCアーキテクチャを提案し、同時にC言語をベースとしたプログラミング環境の確立を目指して、基礎研究と開発に取り組んでいます(8項の図参照)。提案しているSoCアーキテクチャは、新たに再構成可能なデジタル部とアナログ部を混載し、さらに全体の動作と再構成を制御する、MSRP(注1)という組込みプロセッサがワンチップ化されたものです。設計者はC言語ベースでMSRPの動作を書くことができるので、迅速なSoCの再構成が可能な他、同一のMSRPを広い応用分野で流用することができ、全体としての高性能化と省電力化も達成できます。
①MSRPの実チップの開発
②Cプログラムからデジタル回路、アナログ回路を自動的に生成するコンパイラの開発
大規模LSIのCADツール (所属研究室で所有)
大規模FPGAを搭載した設計評価基板 (所属研究室で所有)
▶32ビットプロセッサの設計データの公開
▶プロセッサ教育用教材の公開