イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

准教授

大門 秀朗

おおかど ひであき

所属
工学研究院
電気電子工学研究系
プロフィール
1967
生まれ
1995
博士(工学)
大阪大学大学院
1995
大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻博士後期課程修了
1992
大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻博士前期課程修了

大学院のときに半導体表面を原子スケールで観察できる走査トンネル顕微鏡を使っての研究を始め、その後、透過電子顕微鏡なども用いてナノメートルスケールでの金属や半導体の観察を10年以上行っています。

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ナノ・マイクロサイズ領域における新機能物質探索

● 研究テーマ

  • ❖ナノとマイクロサイズの融合新材料探索

● 分野

ナノ・マイクロ科学、ナノ構造科学、ナノ材料・ナノバイオサイエンス

● キーワード

ピーポッド、カーボンナノチューブ、フラーレン、SPM、電子

● 実施中の研究概要

ミクロとマクロの中間的な大きさの系では、サイズが小さくなったことに起因するさまざまな現象が起こります。それを利用して材料に新しい性質を付与し、その性質を利用することが、現代技術を飛躍的に進展させる可能性があります。そこで、走査プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope; SPM)(注1)、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)(注2)などで、さまざまな工夫の基に作成した試料を観察し(図1)、特有の性質を持った材料の創成を試みる基礎的研究を行っています。
たとえば、さやえんどうまめのように、カーボンナノチューブ(CNT)(注3)の中に、半導体、金属、あるいはフラーレンC₆₀(注4)のようなものを入れて、新しい機能が発現しないかというような、探索を行っています(図2、図3)。新しい電子材料やメモリー材料などを生み出す可能性があります。

(注1)走査プローブ顕微鏡;先端を尖らせた探針を用いて、物質の表面をなぞるように動かして表面状態を拡大観察する顕微鏡の一種です。
(注2)透過型電子顕微鏡;観察対象に電子線をあて、それを透過してきた電子が作り出す干渉像を拡大して観察する電子顕微鏡の一種です。
(注3)カーボンナノチューブ(CNT);カーボン(炭素)6個からなる六角形の環状カーボンが互いに連結して管状(チューブ)になっている物質です。
(注4)フラーレン;ダイヤモンドと同じ炭素同素体で、炭素原子60個が球状に配置されたサッカーボール状の球状物質です。1996年には、クロトー博士などがフラーレン発見に基づく功績によってノーベル化学賞を受賞し、世界的にも注目されています。

● 今後進めたい研究

カーボンナノチューブ(CNT)成長のメカニズムを研究し、SiC基板上に高密度高配向の理想的ピーポッド(C₆₀が1次元的に並んだ状態)作成を目指します。

● 特徴ある実験機器、設備

 透過型電子顕微鏡(JEM-2010)を保有しています。通常は加速電圧200kVで動作させるものですが、研究対象が炭素で出来ている物が多く、200kVの電子線を照射するだけでダメージが生じる場合があります。そこで、電子線照射のダメージを抑えるために加速電圧を下げて、120kVで動作できるように調整しています。
真空蒸着装置の真空チャンバーの到達圧力は10¯⁴Pa台で、基板温度を室温から250℃まで変化させながら金属などを蒸着することが出来ます。

電子顕微鏡(JEM-2010)

真空蒸着装置

● 研究室ホームページ