イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

助教

河野 翔也

かわの しょうや

所属
工学研究院
電気電子工学研究系
プロフィール
1993
生まれ
2020
博士(工学) 九州工業大学
2020
九州工業大学
大学院生命体工学研究科
生命体工学専攻
博士後期課程修了
2017
九州工業大学
大学院生命体工学研究科
生体機能応用工学専攻
博士前期課程修了

大学の講義で相図をコンピュータで描くことができ、それが材料開発に役立つことを学びました。そこでコンピュータを活用することに興味を持ち、コンピュータを使って材料の性質を解明することができるシミュレーションを学びはじめました。それを通して、シミュレーションによって材料がなぜ現実に存在できて、なぜそのような性質を示すのかを理解できることが面白いと思いました。
現在は、そのシミュレーションを使って新しい材料を生み出そうと研究をしています。

受賞
[受賞] 第 164 回日本金属学会 第 32 回 優秀ポスター賞 (2019)
[受賞] 日本学術振興会 合金状態図 第 35 回研究会 Best Poster Award (2018)
[受賞] LPSO2016 Best Poster Award (2016)
[受賞] 第 158 回日本金属学会 第 26 回 優秀ポスター賞 (2016)

シミュレーションを活用した新規材料開発

● 研究テーマ

  • ❖ 熱電変換材料用途のペロブスカイト化合物の熱伝導率シミュレーション
  • ❖ シミュレーションを利用した新規チタン合金の材料設計
  • ❖ 機械学習を使った高熱伝導な絶縁体材料の探索

● 分野

計算科学、無機材料・物性、構造・機能材料

● キーワード

材料探索、シミュレーション、第一原理計算、機械学習、無機材料、マテリアルズインフォマティクス、状態図

● 実施中の研究概要

新規材料開発では様々な元素の組み合わせで実験が行われます。そして、そのなかで良い性質のものが実際に使われる材料の候補になります。そのため新規材料探索では膨大な量の実験や運などが必要になります。最近では、その材料開発にシミュレーションを活用して、効率的に新規材料を探すことが行われてきています。

私は色々なシミュレーションを駆使して、良い性質の材料がなぜ良い性質を示すのか?、どの元素の組み合わせだと良い性質になるのか?などを研究しています。ここでシミュレーションの一つとしては、コンピュータに元素の種類と結晶構造と呼ばれる原子の配置を入力して、物質の性質を予測するという方法を使っています。その結果をもとに、より良い材料を作ろうとしています。

■ 熱電変換材料の熱伝導率のシミュレーション

ペロブスカイト構造と呼ばれる結晶構造の物質の熱伝導率をシミュレーションしています。
私の行っている研究では熱電変換材料として注目されているハライドペロブスカイト材料の構成元素の一部を別の元素で置換した時に熱伝導率がどのように変化していくのかをシミュレーションしています。
シミュレーションをすることで元素置換によって、物質の熱伝導率に何が起こっているのかを予測し解明することができます。その解析を利用して、良い性能の材料になるような変化を起こす要因を調べています。
実際に実験して、シミュレーションの結果を検証することも進めています。

■ 新規チタン合金の材料設計

チタン合金は軽くて強い金属材料です。その軽量性から航空機などへの利用されています。さらには、生体適合性に優れることから医療機器にも利用されています。
ここで、合金とは複数の元素を組み合わせて材料の性質を変化させたものです。チタン合金の場合はバナジウムやアルミニウムを加えたものが有名です。
どのような元素を組み合わせるかは必要とされる性質によって変える必要があります。
必要とされる性質は様々で、強度が必要、耐食性が必要、生体への毒性ないものが良いなどがあります。そして常に材料には改善が求められています。例えば、強度が増せば使う材料を薄くして、全体の重量を減らすなどができ、燃費がよくなったりします。
そこで、新しいチタン合金を設計するということに興味を持っています。チタン合金の結晶構造として、新しい結晶構造が利用できる、作りだせると考えています。結晶構造は物質の性質に大きく関わってくるので、新しい結晶構造は新しい発見につながります。これにシミュレーションを使って取り組んでおり、将来的には実験で作り出そうとしています。

■ 機械学習を使った高熱伝導な絶縁体材料の探索

AI(人工知能)という言葉をインターネットやテレビなどでよく聞くようになってきました。このAIは材料の開発にも利用できます。
材料の開発は、膨大な実験、研究者の勘、失敗などをもとに行われてきました。
そしてその中の一部が今実際に使われている材料になっています。このテーマではAIを使って、そのような研究者が積み上げてきたたくさんのデータや知見を有効利用しつつ、効率的に新規材料を開発しようとしています。
AIの中でも機械学習を利用しています。機械学習により、例えばいくつかの元素の組み合わせから熱伝導率や絶縁性などを予想しようとしています。これにより、膨大な元素の組み合わせの中から良さそうな材料に絞って実験を行うことができます。
このようなAIは、今後の材料開発で使うべき手法となっていくでしょう。

● 今後進めたい研究

シミュレーションやAIを活用した実用材料の開発

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

http://www.matsuhira.ele.kyutech.ac.jp/

❖ 詳しい研究者情報

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/100001323_ja.html