イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

助教

山田 駿介

やまだ しゅんすけ

所属
工学研究院
電気電子工学研究系
プロフィール
1990
生まれ
2019
博士(工学)
東京大学
大学院工学系研究科
電気系工学専攻
博士課程修了
2015
東京大学
大学院工学系研究科
電気系工学専攻
修士課程修了

学部までは研究への興味はほとんどなく、修士課程においてMEMSの研究をした際にその魅力にとりつかれました。

受賞
1. 機械学会奨励賞(研究)<一般社団法人 日本機械学会>(2024年)
2. 2021年度 研究奨励賞<公益財団法人 高柳健次郎財団>(2021年)
3. 2020年度 船井研究奨励賞<公益財団法人 船井情報科学技術振興財団>(2020年)
4. 第9回(2020年度)研究開発奨励賞<一般財団法人 エヌエフ基金>(2020年)
5. 文部科学大臣賞<第33回(2019年度)独創性を拓く 先端技術大賞>(2019年)

エネルギー・環境・エレクトロニクスの融合と持続可能な社会の実現

● 研究テーマ

  • ❖ MEMSを用いたセンサの研究
  • ❖ ナノマテリアルを用いた新奇デバイスの作製と評価
  • ❖ 環境調和プロセスとマテリアル開発

● 分野

ナノマイクロシステム関連、電気電子工学およびその関連分野

● キーワード

MEMS、ナノマテリアル、エネルギー

● 実施中の研究概要

【温度補償MEMS共振子】

Siを加工して得られる微細な構造体は電気で駆動でき、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)とよばれ、センサやタイミングデバイスに利用されています。しかしながら、Si共振子はヤング率の温度依存性による共振周波数が変化する課題があり、この変化を低減する研究が行われています。Siのヤング率は6次のテンソルで表現でき、その各項は温度の二次関数で表されます。このとき、二次関数の二次、一次、定数はウェハのドーピングの種類、ドーピング濃度、振動のモードに依存することが知られています。Si共振子の温度特性を予測するシミュレータを作製し、作製したデバイスとシミュレーション結果の比較・評価を行ってきました。共振周波数変化はSiの「物性」由来であり、大きく変化することは困難でした。そこで、異なる「構造」を組み合わせ、互いに温度特性を打ち消すような共振子を作製しました。作製した共振子はねじりと曲げ変形をもち、互いの温度特性が25˚Cで対称な形をもつことが分かりました。この共振子の温度特性をシミュレーションで検証したところ、共振周波数変化は200ppm以下となり、通常の共振子よりも半分程度の値を示すことが判明しました。

【人体・環境調和を指向したイオントロニクスの創製】

電解質を用いたフレキシブルかつ生体適合性が高いセンサを発展させるため、材料の生分解性に注目した電池とセンサを統合した新奇なセンシングプラットフォームを構築しています。具体的には生分解性材料であるナノポーラスSiや複合原子層物質MXene、超分子イオンゲルを電極・電解質に用いた一次電池、二次電池を作製して、その電気化学特性を評価しています。本研究の延長には、低価格かつ高性能なLiイオン電池の実現や、体内に埋め込み後に人体に吸収されるデバイスによる、術後の経過を短期間モニタリングするインプラントの実現を目指しています。

● 今後進めたい研究

人体や環境との調和を目指したデバイスづくりやナノマテリアルの合成に関する研究を行うことで、グリーントランスフォーメーション(GX)の実現と、その延長として地球温暖化・環境保全に貢献したいと考えています。電気・電子の技術を基盤としますが、材料工学、電気化学など異分野融合に積極的に取り組みます。

● 特徴ある実験機器、設備

  • ❖ グローブボックス
  • ❖ ポテンショ/ガルバノスタット
  • ❖ ソースメジャーユニット

● 知的財産権(技術シーズ)

  • ❖ MEMS
  • ❖ 材料合成
  • ❖ 蓄電素子

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

1)代表、基盤研究(B)(一般),“生体由来イオン液体と複合原子層物質を用いた生分解性蓄電素子の創製”、2024年〜2027年
2)代表、若手研究,“水による金属ナノポーラス構造の作製とそのケミカルセンサへの応用”、2022年〜2023年
3)代表、若手研究,“メカニカル・メタマテリアルを用いたフレキシブル電極の開発とメカノイオニクスの創製”、2020年〜2021年
4)代表、研究活動スタート支援,“シリコン熱電素子を用いたIoT向け環境調和型電源の開発”、2019年〜2021年

● 過去の論文や著書などの業績

【論文】
1)S. Yamada, “Biodegradable Mg-Mo2C MXene Air Batteries for Transient Energy Storage,” ACS Appl Mater Inter, 2024.
2)S. Yamada, ""Bioderived Ionic Liquids with Alkaline Metal Ions for Transient Ionics,"" Small, vol. 19, no. 36, p. 2302385, 2023
3)S. Yamada, ""A Transient Pseudo-Capacitor Using a Bioderived Ionic Liquid with Na Ions,"" Small, vol. 19, no. 15, p. 2205598, 2023.
4)S. Yamada, ""A Transient Supercapacitor with A Water-Dissolvable Ionic Gel for Sustainable Electronics,"" ACS Appl Mater Inter, vol. 14, no. 23, pp. 26595-26603, 2022/06/15 2022.
5)S. Yamada and H. Toshiyoshi, “A Water Dissolvable Electrolyte with an Ionic Liquid for Eco-Friendly Electronics,” Small, vol. 14, no. 32, p. 1800937, Jun. 2018.

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

http://santayamada.wp.xdomain.jp/

❖ より詳しい研究者データ

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/100001774_ja.html