セラミックスでできた液晶、
めざすは”生物みたいな瀬戸物”
無機工業材料、ナノ材料・ナノバイオサイエンス、機能物質化学
無機ナノシート、コロイド、液晶、ゲル、無機ー有機相互作用
私の研究室では、硬い無機結晶から、柔らかな構造体を作り、その機能を引き出す研究をしています。
これまで無機結晶は、その特徴である硬さ、構造の明確さ、そして高温のような過酷な環境に耐える安定性といった特徴にもとづいた応用が注目されてきました。一方、化学者にとって究極の機能材料である生物は、柔らかさ、構造の曖昧さ、そして環境に対する鋭敏な応答、といった特徴をもっていて、これは無機結晶の特徴と真っ向から対立します。では、無機結晶と生物の性質を融合させることができれば、どういう材料が得られるでしょうか。硬さと柔らかさ、秩序と自由、安定と応答、といった相反する要素の協調によって、今まで見たこともない性質を引き出せると思いませんか。
これまでに、層状の無機結晶(グラファイトや粘土のように原子の板が積み重なってできた結晶)から、液晶を作れることを明らかにしました。これは、層状結晶の積層をバラしてできる板(厚さが1 nmくらいなので、ナノシートと呼んでいます)を適切な条件で溶媒に分散させて得られます。無機物を構成要素とする液晶はほとんど知られていないので、そのでき方、構造、性質などを一つ一つ調べています。また、この液晶をベースとして、より複雑な構造を組み立てたり、光エネルギー変換(光エネルギーを燃料や電気に変える)機能を引き出す研究も行っています。
「曖昧さ」を内包することによって高度な性能を発揮する、いろいろな無機材料を開拓してゆきたいと思っています。めざすのは、「生体組織みたいな無機材料」の創出です。
偏光蛍光顕微鏡、
方形毛細管を用いて複屈折を観察する装置、
各種分光光度計、
コロイド試料用X線回折装置
1.層状ニオブ酸化物剥離層ゲルおよびその製造方法,特願2002-006338.
2.層状ニオブ酸化物から合成される有害有機化合物吸着剤,特願2002-035063.
3.酸化ニオブナノシート液晶及びその製造方法,特願2002-273477.
科学技術振興事業団(当時)「さきがけ研究21」
日産自動車(株)と共同研究