電子顕微鏡で原子の並びをみる!
金属物性・材料、構造・機能材料
構造解析、照射効果、半導体、セラミックス
我々の身の回りで使用されている材料は、原子によって構成されています。この原子の並び方により、材料の性質は大きく変化します。このため、材料の開発に際しては原子レベルでの構造情報を得る必要が有ります。ものを拡大してみるには顕微鏡が使用されますが、我々が通常用いている光学顕微鏡では光の波長の関係から1000倍程度しか拡大できません。一方、原子の大きさは100億分の1メートル(0.1ナノメーター)程度であるため、原子の観察にはより高い倍率の顕微鏡が必要です。透過電子顕微鏡では数万ボルトから数百万ボルトという高エネルギーで電子を加速することにより短い波長の電子線を発生させ、それを材料に当て、透過した電子を調べます。これにより、100万倍という極めて高い倍率で材料を観察することが出来、原子配列に関する情報を取得することが出来ます。ここに示した写真はコンピューター等に用いられているシリコン(Si)とその熱酸化膜(SiO₂)の界面を透過電子顕微鏡で観察した例です。下側(Si)では原子に相当する輝点(実際は分解能の関係で2つの原子が分離できていませんが)が規則正しく並んでいます。一方、上側(SiO₂)では規則性が見られず、非晶質(アモルファス)になっていることが分かります。SiとSiO₂の間には明瞭な界面が存在し、原子レベルでの凸凹が存在することも見て取れます。
本研究グループでは、最先端の電子顕微鏡技術を駆使して、様々な環境下における材料の構造変化や組織の形成過程を原子レベルで観察しています。また、確立した解析技術を用いて、国内外の研究グループとの共同研究を推進しています。
「ニッケル薄膜およびその形成方法ならびに強磁性ナノ接合およびその製造方法ならびに金属細線およびその形成方法」、国際出願PCT/JP2008/065924 (2008年)
「Formation of nickel film on polyethylene terephthalate substrate for formation of metal fine wire and manufacture of ferromagnetic nano-joining element used for magnetoresistive element for electronic device such as mobile telephone」、特許番号:WO2009041239-A1 (2009年)
①「薬剤の低付着性を実現する打錠金型製造技術の研究開発」、戦略的基盤技術高度化支援事業(経済産業省)
②「高シリコンステンレス鋼の圧延と鍛造の複合加工による超微細粒鋼の創成とその製品開発」、戦略的基盤技術高度化支援事業(経済産業省)
③「耐照射性材料の開発」、米国ロスアラモス国立研究所との共同研究
④「ナノ構造体導入による耐照射性の改善」、米国テネシー大学との共同研究
⑤「高エネルギーイオン照射による低次元ナノ構造体の創製」、米国パシフィックノースウエスト国立研究所との共同研究