イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

竹中 繁織

たけなか しげおり

所属
工学研究院
物質工学研究系
プロフィール
1959
生まれ
1988
工学博士
九州大学大学院
1986
九州大学大学院
大学院総合理工学研究科
分子工学専攻
博士後期課程中退
1984
九州大学大学院
大学院総合理工学研究科
分子工学専攻
修士課程修了

大学院生のころは、大学の研究には、産業化や実用化を目指した研究は、相応しくないものと考え、純粋な学術的興味だけから有機合成化学の研究に取り組んでいました。しかし、分析化学の講座で、助手としての職を得たことをきっかけに、実用化を視野に入れた研究を始めることになりました。その後、実用化を目指した遺伝子検出の研究を開始、電気化学的DNAプローブ法の成功では、世界から脚光を浴び、特許化も考えましたが、当時は特許のことが分からずうまく行きませんでした。
現在はこの手法を応用し、がん細胞に特有の細胞内テロメラーゼ活性を検出して、がんを早期に発見する製品の開発などを進めています。かつて、私を導いてくれた先生方のように、世の中のためになる研究を楽しんで続けることで、私自身が学生を導く師になれたら最高だと思っています。
なお、現在は九州歯科大と連携し、理工学と歯学の融合を目指す歯工学連携教育センター長も兼務しています。

より詳しい研究者情報へ

遺伝子センサーで簡便、迅速かつ高感度ながん診断、ウイルス検出

● 研究テーマ

  • ❖電気化学的遺伝子センサーの開発

● 分野

分析化学、機能物質化学、生体関連化学

● キーワード

電気化学、遺伝子検査、DNAセンサー、フェロセン、ナノテクノロジー

● 実施中の研究概要

❖一般向け概要説明

人類の福祉の向上のためには、病気の早期診断技術の開発が重要です。また、インフルエンザなどの病原体の脅威から逃れるためにも、それらの早期診断技術の開発が重要です。
私たちは世界に先駆けて、遺伝子の電気化学的検出法を開発してきました。電気化学的手法を用いることによって、このような診断装置を小型化することが期待されると同時に、これによって測定の簡便化、迅速化が可能になると考えています。これまでの研究で、DNAを固定した電極と、私たちが開発した電気化学活性人工分子を用いることによって、遺伝子の迅速で高感度の検出やDNAに関連する酵素のヌクレアーゼやテロメラーゼの電気化学的検出に成功しました。これらの技術は、がんの早期診断技術などへの応用が期待されています。

❖専門家向け概要説明

私たちは、フェロセン化ナフタレンジイミド (FND) が、二本鎖DNAと安定的な複合体を形成することを見出しました。これとDNAプローブ固定化電極を組み合わせることにより、目的遺伝子の電気化学的検出に成功しました。この原理は、電極上で形成された目的遺伝子と、DNAプローブとにより形成された二本鎖部位にFNDが濃縮され、電位をかけることによって、FNDが酸化される際に流れる電流を検出するものです。がんに関連した遺伝子を検出することができれば、がんの診断法に応用できますし、ウイルスに特異的な遺伝子を検出すれば、その診断法へ発展できます。
ごく最近、テロメラーゼによって伸長される、特異的なDNAを検出する方法を開発しました。テロメラーゼはがん細胞特異的に発現するので、これを利用したがん診断への応用を検討しています。

● 今後進めたい研究

遺伝子だけでなく、酵素の基質を固定した電極を利用することによる、電気化学的プロテアーゼセンサーの開発を検討しており、小型の電気化学的診断チップを実用化させたいと思っています。
【産学連携テーマ】
ターゲットとなる遺伝子や酵素の探索、装置の高性能化等に関する共同研究

● 特徴ある実験機器、設備

①MALDI-TOF質量分析計

②表面プラズモン共鳴装置

③高速動画AFM

④等温滴定型カロリメトリー(ITC)

● 知的財産権(技術シーズ)

『遺伝子の電気化学的検出法およびその装置』 特許第3233851号 他 45件

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

文部省科研費
【基盤研究】
『テロメアDNAを利用したカリウムイオンの蛍光センシングと細胞イメージング』2004など13件
【共同研究・受託研究】
『テロメア蛍光イメージング試薬の開発』2004、『BSE簡易診断チップの開発』など18件

● 研究室ホームページ