イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

准教授

城﨑 由紀

しろさき ゆき

所属
工学研究院
物質工学研究系
プロフィール
1977 生まれ                                       
2005 博士(学術)岡山大学
   岡山大学大学院
   自然科学研究科
   生体機能科学専攻
   博士後期課程修了
2002 修士(工学)岡山大学
   岡山大学大学院
   自然科学研究科
   物質生命工学専攻
   博士前期課程修了

国際的に活躍できる医者になりたいというのが,大学を目指したもともとのきっかけでした。当初の目的は叶わず,悶々と学部時代を過ごしてしまいましたが,卒業研究より新しい医用材料の開発に取り組んでいます。国内外の研究者や医師の先生方に日々叱咤激励されながら現在に至り,シンプルで高機能な新しい材料の開発が最近の目標です。

受賞
1999 Bestows the award of Honorable Mention Upon 2000, Undergraduate Materials Research Initiative at MRS-Material Research Society
2008 IUMRS-ICA2008優秀発表賞
2010 平成22年度岡山工学振興会科学技術賞
2010 The Engineering Ceramics Division Best Paper Awards at the 34th International Conference on Advanced Ceramics & Composites, Second Place
2011 日本セラミックス協会国際交流奨励賞21世紀記念個人冠賞倉田元治賞
2012 第66回(平成23年度)日本セラミックス協会賞進歩賞

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失った体の修復を助けるシンプルな材料の創製を目指します。

● 研究テーマ

  • ❖上顎洞底挙上術への応用を目的とした骨充填用材料の開発
  • ❖生体内分解性神経再生用ガイドチューブの作製
  • ❖生分解性有機-無機複合体粒子の創製と薬剤徐放
  • ❖生分解性有機-無機複合体ファイバーの創製と医用応用
  • ❖ケイ酸化学種の微細構造と細胞応答性

● 分野

医用生体工学・生体材料学,無機材料・物性

● キーワード

生体材料,足場材料,有機−無機複合体,生分解性材料,細胞活性,キトサン,ケイ酸

● 実施中の研究概要

病気や事故などで体の機能を失い,自分の体でありながら,自分の自由にできずに苦しんで毎日を過ごしている人が世界にはたくさんいます。どんどんと発達してきた医療技術によって,一昔前では治療できなかった病気や怪我の一部は完治できるようになりました。でも,世界中のいったい何人の人が,高度な医療技術を受けることができるのでしょうか。
そこで,我々は入手しやすい素材を用い,できるだけ簡単な手段で作成でき,かつ高機能を有する生体材料の開発を目指しています。現在は,下記のような材料の開発を中心に高機能を材料に付与することを目的とした研究を行っています。

❖ 上顎洞底挙上術への応用を目的とした骨充填用材料の開発
これまで,虫歯や歯周病で歯を抜かなくてはいけなくなった場合,抜いた後は差し歯や入れ歯などを用いる治療が一般的でした。しかし,近年,インプラントという新しい材料と技術が開発され,より自然の歯と近い形で修復できるようになってきています。しかし,インプラントを用いるためには,土台となる顎の骨が必要です。顎の骨は歯が抜けると負荷がかからなくなり,どんどんとやせていきます。このようにやせてしまって失った骨を再生させるための材料開発を行っています。

❖ 生体内分解性神経再生用ガイドチューブの作製
現在神経の再生治療は,自家移植が一般的です。しかし,体中を張り巡っている神経に不必要な部分はありません。つまり,自家移植のためにどこか別の場所から神経を取ってしまうということは,別の部分の機能損失を引き起こしてしまう可能性があります。そこで,神経組織が良好に再生する足場となるシートやチューブの開発を行っています。

● 今後進めたい研究

①ケイ酸化学種の微細構造と細胞挙動との関係の解明                
②有機-無機複合体を用いた骨再生用足場材料の創製
③有機-無機複合体を用いた抗菌材料の創製
④有機-無機複合体ファイバーの創製と医用応用
⑤有機-無機複合体を用いた神経再生足場材料の創製

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

‣ 【受託研究】
①透析廃液再利用のための新規吸着材および吸着器の開発(A-STEP)(2011-2012)
②骨欠損の治療に有効なキトサンヒドロゲを用いた新たな骨充塡材の開発(岡山県 特別電源所在県科学技術振興事業)(2010-2011)
‣ 【共同研究】
①キトサン−シリケート複合体を用いた開頭術後骨欠損修復の材料開発(日機装株式会社)(2010-)
②ケイ酸基で置換したリン酸カルシウム骨セメントおよび顆粒:ケイ酸イオンが及ぼす物質特性や生物学的機能の向上における役割(アバディーン大学)(2008-2010)
③キトサン−シリケート複合体の医用工学的応用(ポルト大学)(2008-)

● 研究室ホームページ

● Kyutech LAB

https://www.kyutech.ac.jp/kyutechlab/shirosaki.html