准教授
もとづか さとし
学生の頃からエネルギー問題に貢献できる材料開発に取り組みたいという思いがありましたが、なかなか実現しませんでした。そんな中、何気なくみていた鉄のX線回折パターンにちょっとした変化を見つけたのをきっかけに省エネルギーに貢献できる新規軟磁性材料の研究を始めました。
界面から始まる材料開発
材料加工および組織制御関連
メカノケミカル反応、集合組織、再結晶
材料Aと材料Bが接触している面を”界面(interface)”といいます。材料Aと材料Bを適切に選んで良い界面を作るという研究が多いのですが、逆にこの界面を起点に材料Aや材料Bをもっと良くしようという研究に取り組んでいます。
具体的には、モーターの省エネルギー化に貢献する鉄の開発をしています。鉄は数少ない磁石にくっつく材料なのですが、鉄を構成する鉄原子の並び方によって、もっと強く磁石にくっつくようになります。そのような鉄をモーターの中の鉄心と呼ばれる部品に使うと、結果として少ない電気で大きな力を出せるようになります。そこで、この鉄の原子の並び方を上手にコントロールする方法を研究しています。
鉄を加熱すると、鉄の原子の並び方がより整然となります。この現象を再結晶といいます。鉄の表面に別の材料をくっつけて、前述の界面を上手に作ってあげることで、この再結晶をコントロールできることを最近見つけました。その原理の解明のためには、原子レベルでの界面の観察や考察が必要です。そこで、透過型電子顕微鏡と呼ばれる極めて高い倍率まで観察できる顕微鏡や、分子軌道法と呼ばれる、複数の原子がお互いにどのように影響を与えるかを調べることのできるシミュレーション手法を使って研究をしています。
電気機器に組み込まれている鉄心用の材料開発
黒鉛のような固体潤滑剤の摩擦機構の解明
金属の新しい再結晶制御技術の開発
走査型プローブ顕微鏡、ボールミル、蛍光顕微鏡
PCT/
JP2016/061913
ランダムキューブ組織を有する偏平圧粉コアの創出とその磁気特性
【受託研究】『超低損失と高飽和磁化を両立した軟磁性材料の技術開発』(2018)
【共同研究】『磁性シート用新規磁性粉末材料に関する研究開発』(2017)
【受託研究】『リサイクル可能な炭素繊維-熱可塑性樹脂複合材料のメカノケミカル創出技術』(2014)
【論文】Formation of (001) fiber texture in iron powder and its effect on magnetic properties and crystal orientation of the powder compact, ISIJ international, 59(1), 192-200, 2018.
【論文】・Texture Formation in Iron Particles Using Mechanochemical Milling with Graphite as a Milling Aid, AIP advance, 5, 097127, 2015.