准教授
さとう しのぶ
高校生の頃に北海道大学で遺伝子治療が始まったということを聞いて大変驚き、このとき初めて「遺伝子」に興味を持ちました。大学の針路には薬学部という選択もあったのですが、工学部に進学し遺伝子について勉強を始めることになりました。たまたま家族にも遺伝子診断を受ける機会があり、ますます「遺伝子」に対する興味が大きくなりました。
少し不安だったのは高校生の時に「生物」の科目を選択してなかったことです。しかし、大学に進学してから十分に勉強できました。生物を選択していない学生でも遺伝子について研究できる見本だと思っています。 研究者になったのは、両親の理解があり学部学生の頃から進学を認めてくれたからだと感謝しています。
究極のガンマーカーの検出システムで、超早期ガン診断へ
分析化学、機能物質化学、生体関連化学
電気化学、遺伝子検査、DNAセンサ、フェロセン、ナノテクノロジー
現在、竹中研究室で進められているバイオセンシングシステムの中で、私は電気化学的DNA検出を担当しています。
私たちは癌や心筋梗塞の診断システムの開発を目指しています。検出するのは、これらの疾病に関連するDNAやタンパク質です。
電気化学を利用してこれらを検出するために、DNAを認識する電気化学活性指示薬やDNAへの電気化学的ラベル化剤を開発しています。
現在九州歯科大と医工連携して、口腔癌の早期診断システムの開発を行っています。
これは、「テロメラーゼ」というタンパク質を目印にしています。「テロメラーゼ」は癌でのみ観察されるタンパク質ですが、非常に不安定で検出が難しいタンパク質でした。これを簡単に検出できれば、「テロメラーゼ」は究極のガンマーカになります。
私たちは、テロメラーゼがDNAを伸ばす機能に着目し、電気化学DNAチップでテロメラーゼを簡単に検出する方法を開発しました。
DNAは、2 nmのナノ材料として期待されています。DNAの特長を利用して様々な構造を作ることができます。今後は、DNAと相互作用する小分子化合物を利用して、ナノ材料としてのDNAの可能性を広げる研究を行っていきたいと考えています。
①原子間力顕微鏡
DNAの静止画だけでなく、動きが見れる優れものです。
②電気化学アナライザー HAN-H100
1. テロメラーゼ活性の電気化学的検出方法及びそれに用いる検出キット(共願)
特願2005-042552
2.電極モジュール(共願)
PCT/JP2009/056862
竹中教授がプロジェクトリーダであったプロジェクト(地域コンソーシアム)で、羽野製作所と電気化学アナライザー HAN-H100の開発に取り組んだ。現在販売中。
電気化学アナライザー HAN-H100