イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

助教

下岡 弘和

しもおか ひろかず

所属
工学研究院
物質工学研究系
プロフィール
1964
生まれ
2009
博士(工学)
九州大学
1990
九州大学大学院
大学院工学研究科博士前期課程修了

初めてセラミックスの電子顕微鏡写真を見たときは、その微構造の美しさと不思議さに大変感激しました。そして、その微構造こそがセラミックスの数々のすばらしい性質の源になっていることを学び、益々興味が増し、セラミックス工学の道に進みました。

より詳しい研究者情報へ

高誘電率のスーパーセラミックスを目指して!

● 研究テーマ

  • ❖誘導体ナノ結晶セラミックスの合成と物性解析についての研究

● 分野

無機材料・物性、応用物性・結晶工学

● キーワード

ゾル-ゲル法、誘導体、ナノ構造、エネルギー貯蔵

● 実施中の研究概要

粉を使わず、成型せず、高温で焼かずにセラミックスを作ります。金属有機化合物の化学反応を利用するゾル-ゲル法を応用すれば、このようなセラミックスの製造も原理的に可能と思われます。さらに分子の自己組織化プロセスをうまく利用すれば、セラミックスの微構造をナノスケールで自在に設計できるようになり、特異な微構造に起因する新奇物性の発現をも期待できます。
このような考えのもと、ゾル-ゲル法と液相界面を組み合わせた新しい製造法を考案しました(特許に記載)。この方法で作製したチタン酸バリウムセラミックスは数十ナノメートルほどの極めて小さな結晶粒が緻密に焼結した微構造となっており、従来と非常に異なる誘電特性を示しました。現在は、より小さなスケールで粒子の形状と配列をコントロールする方法を模索しています。この発見はコンデンサ素子の飛躍的な性能向上につながる可能性を秘めていると予想されるため、その特性の発現メカニズムの解明にも注力しています。

● 今後進めたい研究

革新的な高誘電率セラミックスを作りたいと思っています。そのために作り方の研究と物性解明の研究と両面から進めています。
ケイタイ電話などの情報通信機器の小型高性能化に寄与するだけでなく、エネルギー貯蔵用途に使えるようなスーパーセラミックスを作ることが夢です。

● 知的財産権(技術シーズ)

『強誘電体薄膜』(特許公開 2008-214180号) 
『無機酸化物の中空単結晶および当該単結晶を含有する結晶材料、ならびにこれらの製造方法』(特許公開 2005-314190号) 
『強誘電体メソ結晶担持薄膜及びその製造方法』(特許公開 2005-153027号) 
『チタン酸バリウム自立膜及び作成方法』(特許公開 2001-261434号) 
『透光性乃至透明チタン酸バリウム及びその製造方法』(特許公開 2000-128631号)

● 研究室ホームページ

BaTiO₃自立膜。 透光性が高く、背後の穴が透けて見えます。