イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

准教授

若狭 徹

わかさ とおる

所属
工学研究院
基礎科学研究系
プロフィール
1979 生まれ
2007 博士(理学) 
2007 
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻博士後期課程修了
2003 修士(理学)
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻修士課程修了

小学生の頃、旅人算、ツルカメ算に興味を持っていましたが、算数が得意ではありませんでした。中学生になり連立方程式を習い感動し、高校生の時にカオス理論に出会い、映画ジュラシックパークに触発されたことや非線形科学にに強い興味を持ったことが研究の「きっかけ」となり現在は分岐現象に興味を持っています。

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非線形現象を数理の観点で解明したい

● 研究テーマ

  • ❖反応拡散方程式のダイナミクスの研究、
  • ❖非線形拡散方程式のダイナミクスの研究、
  • ❖楕円型偏微分方程式の解構造の研究、

● 分野

大域解析学

● キーワード

反応拡散方程式、
非線形偏微分方程式、
分岐構造とダイナミクス、

● 実施中の研究概要

主な研究テーマ:
[1] (基礎的な)反応拡散方程式系の分岐構造に関する研究
反応拡散方程式系とは、化学反応などに見られる生成・消費と拡散の相互作用により生じる現象を記述する非線形偏微分方程式の総称であり、方程式の解の振る舞いに多種多様なパターン(ストライプ、スポットなど)が観察されることが特徴の一つです。 中でも私は個々のパターンが現れる過程、またいくつかのパターンが相互作用する過程に関わる「大域的分岐問題」について以前より強い関心を持っています。 パターン形成や分岐構造を調べる際には、コンピュータによる数値シミュレーションが非常に強力ですが、一方で理論解析の見地からは多くの問題が未解決です。 これまでには、分岐構造を決定づける線形化固有値問題に着目し、従来より詳細な解析計算を行ってきました。 今後これを手掛かりとして、大域的分岐問題の理論解明を行いたいと考えています。

[2] 生命科学に関連する反応拡散方程式系・非線形拡散方程式系の研究
発生や形態形成さらには腫瘍浸潤に代表される細胞運動などの生命現象の多くは、分子や細胞レベルでの観察・実験が研究手法の主流ですが、一方で新しい研究の方向性の一つとして、蓄積された知見をベースに持つ数理モデル構築、ならびにその解析・シミュレーションを主な軸とする現象数理学による研究アプローチが期待されています。
本テーマに関しては、接触抑制と呼ばれる細胞の特性のメカニズムの解明を目的に正常細胞・異常細胞系のモデル方程式を研究しています。 数学の観点からは、モデルは退化型拡散項と呼ばれる強い非線形性を有しており、これを取り扱う理論の確立が重要な課題です。 現在はまず第一段階として、解の性質をはじめ理論的な枠組みの研究に専念していますが、将来的には医学に対して何らかのフィードバックを行いたいと考えています。

● 今後進めたい研究

今後は現在行っている研究に加えて、遺伝子発現など生物の発生段階における数理モデルについて今後研究を行いたいと思っています。また担当する総合システム工学科には幅広い専門分野からなる先生方がいらっしゃいますので、工学分野に関わる数理の問題の研究にも携わりたいと考えています。

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

2005 ~現在
龍谷大学 四ツ谷晶二 
「線形化固有値問題の研究」

2009~現在
明治大学 三村昌泰 
UNIV.Rome.ver.Tortaga Michiel Bertsch
「腫瘍浸潤の数理モデルの研究」

● 研究室ホームページ