講師
まつだ たくや
研究者を志したきっかけは大学時代の恩師です。近寄りにくい雰囲気を発している昔気質の先生でしたが、文学研究の作法(英語の小説の読み方と小説に関する話し方)を教えていただいたので恩を感じています。
アメリカの姿を文学に探る
英文学、英語圏文学
人種、ジェンダー、戦争
いくつか進めているプロジェクトがありますが、一つはアメリカの大学院留学時代に提出した博士論文をアメリカの出版局から提出するものです。太平洋戦争とアメリカのマイノリティ文学の関係性を扱ったもので、アフリカ系アメリカ人、メキシコ系アメリカ人、アメリカ原住民、アジア系アメリカ人など幅広い人種・民族グループの作家の作品を考察しています。数年をかけてアメリカ各地の大学図書館で調査を行い、作家たちの未発表の作品を複数扱っているので、ぜひちゃんとした形にしたいと考えています。
もう一つは、マイノリティ文学におけるホワイトネス(白人や白人性、白人らしさ)を考察するものです。科学技術から人種問題や帝国主義に至るまで、「西洋的なもの」が、アメリカの非西洋(つまり人種的マイノリティの)作家の作品において、どのように表象されているかを扱います。ポスト構造主義以降、人種もまた社会・文化的構築物であるとの見方が広がり、様々なマイノリティの作家が白人の登場人物を描き、ホワイトネスの意味について問いかけています。特にどのように作家たちが、フロイト以降の精神分析や、20世紀後半のフェミニズム・クィア理論に関するジェンダー的知見を取り入れながら白人を描きつつ、それをアメリカという国の歴史に関連付けているかを読み解きます。
最後に、現代のアフリカ系アメリカ文学に関する研究を行っています。ここ20年ほどの間に出版されている現代作家の作品で描かれる奴隷制について関心を抱いています。
近頃は最近の作品に関する研究をすることが多くなってきましたが、今後は20世紀初期から中盤の作品の研究にも挑戦して、研究者としての幅を広げていきたいと思っています。
https://researchmap.jp/takmatsuda