厳しい宇宙環境に耐える技術開発

● 研究テーマ

• ❖ 宇宙機の帯電放電に関する研究
• ❖ 超小型衛星搭載用電気推進機の開発

● 分野

航空宇宙工学

● キーワード

宇宙機、人工衛星、帯電放電、電気推進

● 実施中の研究概要

本研究室では人工衛星などで起こる放電事故を防ぐための研究を行っています。放電事故を防ぐ方法の研究や安全を確認する試験をしています。また近年打ち上げ数が大幅に増えている超小型衛星の向きを制御したり、軌道を変えたりできる電気推進機も研究しています。
人工衛星などの宇宙機が周回する宇宙空間では、帯電や放電を引き起こし、悪影響を与えるプラズマが存在しています。放電により人工衛星が運用できなくなる事故が起きており、宇宙機の放電事故を防ぐ技術が求められています。当研究室ではこれまで打ち上げ前の人工衛星に対する地上帯電放電試験法を開発し、NASAやヨーロッパ宇宙局などの研究者と共に国際標準化してきました。現在は日本のみならず海外の衛星帯電放電試験を引き受けています。当研究室主導で厳しい宇宙プラズマ環境を定義した国際標準も策定し、帯電解析シミュレーションで利用されています。
この他に、宇宙プラズマを利用した電気推進機の開発も行なっております。2019年現在、九工大は大学が打ち上げた超小型衛星数世界No.1となっています。しかし、その大きさから推進機を搭載することが難しいので、最近では超小型衛星に搭載するための推進機を開発し、ミッションの多様化を狙っています。

● 今後進めたい研究

本研究室主導で開発した国際標準に基づいて試験することで人工衛星は安全に運用されるようになっており、これからも厳しい宇宙に耐えられるように宇宙機帯電放電の研究を続けていきます。さらに放電抑制技術の開発により、宇宙発電衛星、宇宙ホテル、宇宙工場など更に大電力での発電が放電の心配なしにできるようになります。また、現在推進機を搭載できないような超小型衛星に搭載できる推進機を研究開発することで、ただ宇宙空間に浮いている状態から自由に動かせるようになります。これにより超小型衛星の需要の拡がりに貢献することができます。

● 特徴ある実験機器、設備

ＧＥＯ（静止軌道）・ＰＥＯ（極軌道）・ＬＥＯ（低軌道）の３つの環境設備を模擬できる真空容器があります。この３つの環境設備がそろっている研究所は世界でも九州工業大学だけです。

● 知的財産権（技術シーズ）

(1) 真空アーク放電発生方法，特許第5023332号
(2) 真空アーク推進機，特開 2017-002851

● 過去の実績等

【共同研究】①『EDT技術実証用ベアテザーの電子収集及び耐放電性能評価試験の実施』(２０２０)
【共同研究】②『宇宙用太陽電池パネルの帯電放電試験』(２０２０)
【共同研究】③『静止軌道周回衛星用太陽電池パネルの帯放電試験』(２０２０)
【共同研究】④『EDT技術実証用ベアテザーの電子収集及び耐放電性能評価試験の実施』(２０１９)
【共同研究】⑤『EDT技術実証用ベアテザーの電子収集及び耐放電性能評価試験の実施』(２０１８)
【共同研究】⑥『導電性テザープラズマ収集物理モデルの地上実験についての研究』(２０１８)

【受託研究】①『Electrostatic Discharge (ESD) Test of Solar Array Coupons to LEO Space Environments』(２０２０)
【受託研究】②『Electrostatic Discharge (ESD) Test of Solar Array Coupons to LEO Space Environments』(２０２０)
【受託研究】③『Electrostatic Discharge (ESD) Test of Solar Array Coupons to LEO Space Environments』(２０１８)
【受託研究】④『宇宙環境曝露材料の表面分析』(２０１７)

● 関連リンク先

❖ 研究室等のホームページ
https://kyutech-laseine.net

• ❖ より詳しい研究者情報
• https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/72_ja.html