准教授
きたがわ こうき
宇宙へ行ってみたいと思っています。現在のロケットは20回に1回ぐらい失敗しています。そんなロケットに乗る勇気はなく、安心して乗ることのできるロケットを自分で作るしかないと思っていました。本質的に安全なハイブリッドロケットというものに出会い、それを実用化したくハイブリッドロケットシステムの研究を始めました。
誰もが安心して宇宙に行くことができる先進的ロケットの研究
航空宇宙工学、熱工学、流体工学
ハイブリッドロケット、固体ロケット、有人宇宙輸送、燃焼
近い将来、人類の生存、活動の場は宇宙へと拡大していくのは必然であり、革新的な有人宇宙輸送用の推進系が求められています。推進剤として液体酸化剤と固体燃料の組み合わせを用いるハイブリッドロケットは、境界層燃焼と呼ばれる独特な燃焼形態であり、本質的非爆発性の画期的な推進システムです。低コストで安全性が高く、環境面でも優れており、来る有人宇宙輸送時代の輸送システムに適しています。
一方で、燃焼させにくい、燃焼をコントロールするのが難しいという⽋点もあり、さらに⼗分な推進⼒を得るために、いかに効率よく燃やして推進⼒を得るかなど、多くの課題があります。
当研究室では、様々な課題に対して研究を行い、実用化に必要なキー技術を獲得し実証していくことで、新たな宇宙開発の幕開けに貢献することを目指しています。
レーザ点火技術の研究に関しては、固体ロケットのレーザ点火システムの実用化を目指して、着火性能および安全な運用方法に関する研究を行っています。レーザを用いて火薬に着火するレーザ点火実験を実施し、着火/不着火の設計基準を明らかにすることや得られたデータを元に安全上必要な確実に着火しないレーザエネルギ値および設計上必要な確実に着火するレーザエネルギ値を決定する統計的手法を確立することを行っています。また、実際に宇宙環境を模擬した低温や真空条件下での点火実験を行い、特殊な条件下での着火のメカニズムを明らかにすることを目指しています。
高性能、高機能なロケットの研究開発を進めていき、誰でも宇宙を利用できるにしていきたいと思っています。
ロケット燃焼実験設備、レーザ点火実験設備
【共同研究】】『低温環境下におけるボロン硝酸カリウム火薬のレーザ点火に関する研究』(2021)
【共同研究】】『レーザを用いた固体ロケット点火システムにおける点火限界に関する調査』(2020)
【共同研究】『レーザ点火における火薬類の点火限界に関する研究』(2020)
【共同研究】『デトネーションキックモーター観測ロケット軌道投入実証』(2020, 2021)
【論文】Koki KITAGAWA, Shinichiro TOKUDOME, Keiichi HORI, Haruhito TANNO and Nobuyuki NAKANO, “Development and Flight Results of Solid Propulsion System for Enhanced Epsilon Launch Vehicle,” The 31st ISTS Special Issue of Transaction of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol. 17, Issue 3, pp. 289-294, 2019.
【論文】Koki Kitagawa, Saburo Yuasa, Takashi Sakurai, Sakashi Hatagaki, Noriko Shiraishi, Hideyuki Ando, Takeshi Yagishita, Naohiro Suzuki, Akimasa Takayama, Ryosuke Yui, Toru Shimada, “DEVELOPMENT OF TEST FACILITIES FOR 5 KN-THRUST HYBRID ROCKET ENGINES AND A SWIRLING-OXIDIZER-FLOW-TYPE HYBRID ROCKET ENGINE FOR TECHNOLOGY DEMONSTRATION,” International Journal of Energetic Materials and Chemical Propulsion, Vol.15, Issue 6, pp. 435-451, 2016.